のと里山海道、17日から対面通行 「能登は必ず復興、その時にＳＡ必要」
●「別所岳」施設店長、来年再開へ準備 能登半島地震の影響で輪島方面への一方通行となっている能越自動車道・のと里山海道の区間で17日正午、対面通行が再開される。被害が大きい能登大橋（穴水町）周辺を除く全区間が対象。奥能登への移動や物資輸送の円滑化につながるとみられ、沿線のサービスエリア（SA）関係者は「復興に弾みがつく」と期待を込める。 能越自動車道とのと里山海道の復旧状況 「真っ暗闇を船が航海する中、営業再開へようやく灯台の明かりが見えたようだ」。別所岳SAにある広域観光施設「奥能登山海市場」の橋爪和夫店長（67）=輪島市河井町=は笑顔を見せた。 ●孤立、141人と一夜 七尾市と穴水町にまたがる同SAの建物は、元日の地震で窓が割れてドアが吹き飛び、店内がめちゃくちゃになった。道路の損壊で施設は孤立し、橋爪さんは利用客141人と一夜を明かした。 店内にあった食料や菓子を提供し、展望台「能登ゆめてらす」ではシャッターをこじ開けて閉じ込められた人を救出。店内の棚や飼育していたヤギの小屋を壊してまき代わりにし、駐車場で暖を取った。翌2日、約30人とともに里山海道を歩き、3時間半かけて越の原インターチェンジ（IC）から一般道に出た。 ●今も水、電気使えず あれから半年余り、施設は今月20日に10周年を迎えるが、現在も水や電気は使えず、年内の営業再開は難しい。別所岳SAは対面通行に合わせて金沢方面でトイレの利用が可能となるものの、輪島方面のSAについては当面、閉鎖が続く。 それでも橋爪さんにとって対面通行が再開される意味は大きい。「道はいずれつながり、能登は必ず復興する。その時にサービスエリアは必要です」。来年5月初旬の営業再開を目指し、準備を進める。 元日の地震後、能越道とのと里山海道では大規模崩落28カ所を含む計178カ所の損傷が見つかった。17日は、輪島方面への一方通行となっている能越道ののと里山空港-穴水IC間（6・2キロ）と、のと里山海道の穴水-徳田大津IC間（27キロ）で金沢方面の通行が可能となる。
