ANAが国内初、血液製剤のドローン輸送に成功 沖縄で実証実験 浦添―名護の53キロ 災害や渋滞時の活用期待
地理的特性から配送に課題のある本島北部地域へ迅速に医薬品などを運搬するサービスの実用化を目指してANAホールディングスは30日、ドローンで血液製剤を輸送する実証実験を実施した。浦添市の伊奈武瀬球場を離陸したドローンは海上を飛行し、名護漁港までの約53キロを輸送することに成功した。 【動画をみる】血液製剤のドローン輸送に成功 実証実験を通して、緊急性の高い医薬品や医療品について、定温で輸送する技術を活用したドローン配送サービスの実用化を目指す。災害時や渋滞時などでも迅速な医薬品輸送につなげ、安全安心な医療体制整備に取り組んでいく。 ANAによると、血液製剤のドローン輸送実証実験は国内初。今後は輸送された研究用血液製剤の品質が保たれていたかなどの検証を進めるとともに配送フローや運用面での実現性を検証していく。 那覇市の県赤十字血液センターで研究用血液製剤2パックを定温輸送容器に保冷剤などとともに梱包(こんぽう)。車両で浦添市の伊奈武瀬球場まで移送し、ドローンに積み替えた。 伊奈武瀬球場を離陸後は恩納村の真栄田漁港でバッテリーを交換し、再び離陸。名護漁港までを計49分で飛行し、県立北部病院には車両で搬送した。 ANAホールディングス未来創造室の鈴木謙次モビリティ事業創造部長は「将来的な人手不足や緊急的な血液製剤の搬送要請にドローンが対応していけるかを検証することが目的。われわれの知見を活用し、高速でかつ長距離のドローン輸送を実現していきたい」と実験の意義を語った。 12月1日には同じルートで赤血球製剤(RBC)の輸送実験も予定。実験にはANAのほか、伊藤忠商事、沖縄県立北部病院、沖縄県赤十字血液センター、スギヤマゲン、東京都立墨東病院も参加。県の革新的なデジタル技術・サービスを持つ企業支援を行うテストベッド支援事業として実施された。
琉球新報社