アンジュルム・佐々木莉佳子、11年分の感謝を込めて卒業ライブで見せたパフォーマンス
アンジュルムが6月19日、神奈川・横浜アリーナで『ANGERME CONCERT 2024 SECRET SECRET 佐々木莉佳子 FINAL「愛情の世界へ、君もおいでよ」』を開催した。11人のメンバーはこの日、4月6日よりスタートした春ツアーの集大成となるパフォーマンスを約1万2000人の前で披露。そして、本公演をもってアンジュルムおよびハロー!プロジェクトを卒業する佐々木莉佳子は、研修生期間も含めた11年分の感謝の気持ちを歌とダンス、語る言葉の一つひとつに込め、一人のパフォーマーとして最後まで圧倒的な輝きを見せながら、あたたかな黄色いライトに照らされたステージを後にした。 【写真を見る】写真左から、下井谷幸穂、佐々木莉佳子、松本わかな 佐々木は、2013年にハロプロ研修生となり、2014年10月にアンジュルムへと改名する直前のスマイレージへと加入したメンバー。表現力豊かなダンスを持ち味に、パフォーマンス面でグループを牽引。アンジュルムで約10年にわたって活動し、2023年12月に「自分の可能性に挑戦していきたい」と卒業を発表した。 そんな佐々木の卒業を祝い、客席では開演前から、佐々木のメンバーカラーであるイエローの色に灯った無数のペンライトが揺れ、彼女の名前を呼ぶ声が大きく響いていく。会場が暗転し、大きな歓声に包まれたかと思うと、ステージに1つだけ照らされたスポットライトの中で佐々木が登場。シックなダンスミュージックの中で、全身をくまなく使った非常にクールかつ情熱的なダンスパフォーマンスをソロで披露し、佐々木が作り出した独自の世界観へと観客を一気に惹きつけていく。 その後、ステージ上の大スクリーンに11人のメンバーの名前が次々と映し出され、会場中から再び大歓声が沸き起こると、赤色の華やかな衣装に身を包んだメンバーが登場し、まずはライブでの定番曲かつ、佐々木がアンジュルムに加入した際のシングル曲である「大器晩成」をパフォーマンス。観客の声援と一体となったステージで、冒頭から会場内に圧倒的な熱気を生み出すと、そのまま休むことなく「出すぎた杭は打たれない」「マナーモード」「美々たる一撃」「七転び八起き」を一気に披露した。 MCでは、まず11人が声をそろえて挨拶。リーダーの上國料萌衣が「みんな楽しんでますか!」と問いかけると、観客からは大きな歓声が。上國料が佐々木に、卒業公演がいよいよスタートした現在の気持ちを尋ねると、佐々木は心境を正直に告白する。そして、佐々木は、今日を迎えるまで準備や緊張で眠れない日々を過ごしていたことを明かしつつ、「(冒頭から)本当に攻め攻めなセットリストになっているんですけど、誰一人後悔させない時間をみんなで作っていけたらと思いますので、最後までついてきてください!よろしくお願いします!」とコメントし、この後のパフォーマンスに期待を抱かせた。 そして、川村文乃の前振りから「うわさのナルシー」へ。洗練されたサウンドの中で、昨今世界の音楽シーンでも1つのキーワードとなっている「Love My Self」を各メンバーのしなやかで軽やかで、カラフルな歌声とダンスで表現すると、会場の空気がそれまでとは一気に変わり、そのまま「Uraha=Lover」を披露。「23時のペルソナ」では、中央ステージや通路を広く使ったパフォーマンスでファンとコミュニケーションをとると、「全然起き上がれないSUNDAY」「忘れてあげる」を続けてパフォーマンスし、会場が再び暗転。メインステージの大スクリーンに、1本の映像が流れ始める。 始まったのは、今年の春ツアーで5月4日に開催した気仙沼公演での佐々木のMC。故郷であり、アイドルを目指す原点となった気仙沼にずっと訪れたいと思っていたことを明かすと、佐々木は「卒業の最後のツアーで気仙沼にまた1つ大きくなって帰ってこれたことが嬉しい」「気仙沼にちょっとだけ恩返しできた。それは、(ファンの)皆さんがいてこそ叶ったこと」と、時折涙で声を詰まらせながら、地元への愛とファンへの想いを言葉にしていった。そんな感動的なMCの映像が終わるやいなや、会場からは佐々木の門出を改めて祝うかのように、佐々木を呼ぶ声と歓声が響く。 その後、カラフルな衣装に身を包んだメンバーがステージに再登場。佐々木がセンターを務めていた「魔法使いサリー」をパフォーマンスし、まるでテーマパークに来たかのような楽しげなステージで観客を魅了すると、今度は佐々木を軸とした2~4人のチームに分かれ、計5曲をメドレー形式で披露。佐々木、橋迫鈴、平山遊季が「ショートカット」を、佐々木と下井谷幸穂、後藤花で「天真爛漫」を、佐々木と川名凜、為永幸音、松本わかなで「パン屋さんのアルバイト」、佐々木と上國料で「自転車チリリン」、佐々木と川村、伊勢鈴蘭で「有頂天LOVE」を次々と披露し、各メンバーの魅力がぎゅっと詰め込まれたパフォーマンスに、観客から再び大歓声が沸き起こる。 そして、全メンバーが中央ステージへ。円を作り、各メンバーが佐々木の背中を押すような表情で「交差点」を歌うと、楽曲の中盤で佐々木が感極まり、少しだけ涙を見せる場面も。その姿を見た上國料や川村らが佐々木の手を握ったり、肩を抱いたりしながら歌声を響かせ、メンバー間に強い絆があることを改めて感じられる感動的なステージを作り上げた。その後、爽やかなサウンドが印象的な「Foever Friend」を披露してMCへ。本公演 2 回目の MC では、メンバーの提案により、三三七拍子のリズムに合わせて「I love you. I love you. 莉佳子が大好きだ!」と観客が叫び、ファンの大きな愛情を佐々木に届けるというシーンも。大勢の観客の声を聞いた佐々木は、ファンに対して「みんなのことが本当に大好き。伝わってますか?」「アンジュルムのこと、愛してますか?愛情の世界、最後まで作り上げてくれますか?」と語りかけ、自身の中にあるファンへの愛を改めて客席に伝えた。そして、次の楽曲のパフォーマンスへ。 佐々木の前振りで「赤いイヤホン」に突入。情熱的なステージを繰り広げると、「アイノケダモノ」と「愛されルート A or B?」を披露し、「次々続々」でクールなパフォーマンスを見せていく。そして、佐々木の「横浜の皆さん、私たち一緒に、もっと愛の世界を作っていきましょう!」という煽りから、「46億年LOVE」で会場のボルテージは最高潮に。本編ラストは「夏将軍」を披露し、疾走感のあるサウンドの中、メンバーとファンがグッズのタオルを振り回しながら会場全体で一体感を作り上げ、多幸感に溢れた空気の中で本編を終えた。 その直後から、佐々木を呼ぶ大勢のファンの声がこだまする会場。一面に揺れる黄色いペンライトが幻想的な景色を作り出すと、しばらくして、佐々木が一人でステージに登場した。 この日、卒業という大きな節目を迎える彼女は、真っ白な衣装に身を包み、静かにマイクを手にする。すると「君だけじゃないさ...Friends」をしっとりと歌い上げていった。楽曲の途中から何度も泣きそうな表情を見せていた彼女は、キラリと一粒の涙をこぼすと、会場全体を改めて笑顔で見渡し、ファンへのあたたかな想いを歌声に乗せて届けていく。 そして、佐々木は手紙を取り出すと、ファンやメンバーへの感謝の気持ちを一つひとつ噛みしめるように語り始めた。9枚ほどあるという手紙を手に取ってマイクの前で話し始めた佐々木。アイドルを目指す大きなきっかけとなったのは、"3.11"の震災の経験だったといい、「3月11日は今でも、これから先も、忘れることはありません。笑顔というものがどれだけ、周りを自分を照らし、包み込むのか。光がなくなってしまったからこそ、自分が誰かの光になりたい!そう強く思い、私の、アイドルとして生きていく人生がスタートしました」と静かに語っていく。 ハロー!プロジェクトに加入してからの道のりは、「キラキラと輝いているもの」でもあり、「何度も立ち止まり、振り向きたくなることもあった」ものだったという。しかし、そうした日々の中で自身を支えてくれる仲間やファンの姿があったからこそ、アンジュルムの活動に力を注いでくることができたと、「わたしの人生においてアンジュルムとして出会ったみんなは、何にも変えられない、大切すぎる存在です」と力強く言葉を紡いだ。 そして、一人ひとりのメンバーの名前を呼びかけた佐々木。ここで感極まって泣きそうになりながらも、「明日から違う世界が広がっているのだと思うと、進み続ける時間が時には苦しくなることがあります。自分で選んだことだけれど、やっぱり皆のことが愛おしくてたまらないよ」「最高で最強なみんならしく、みんなの色でこれからのアンジュルムを作り上げていってね」と、メンバーにメッセージを語った。 手紙の最後には、佐々木からファンへの大きな愛のメッセージが。佐々木は「あなたと私が出会えた今の時代を生きることができて幸せだと思っています」「(ファンと)どこかで支え合って生きているような感覚がありました」「私もみんなの幸せを誰よりも願っています」「みんな、また会おうね。どうか、大好きな皆さんを取り巻く環境が優しい世界でありますように」とあたたかな言葉を語り、佐々木からの卒業に寄せた手紙の朗読を終えた。 その後、白い衣装をまとった佐々木と、ベージュの衣装に身を包んだメンバーによるアンコールステージは、まず「旅立ちの春が来た」をパフォーマンス。そして、本公演ラストのMCへ。各メンバーから一言ずつ、佐々木への想いなどが語られた。 後藤は「佐々木さんのあったかい言葉とか笑顔とか本当に大好きです」と涙ながらに語り、下井谷はメドレーで「天真爛漫」を披露したことに触れ、「佐々木さんと私と花ちゃんと、この曲を歌いたいって選曲してくださったのがすごく嬉しくて。歌えてよかったです」と笑顔で佐々木への愛をコメントした。平山も涙声になりながら「佐々木さんに幸せでいてほしい」「いろいろなことがあると思いますが、どうか幸せで、笑って過ごしてください」と佐々木へのあたたかな想いを言葉にして届けると、佐々木のパフォーマンスに憧れていたという松本は「佐々木さんのきらきらとした、これからの未来を見据えている姿がとても素敵なので、応援したいなと思います」と、佐々木の門出を祝福した。 為永は、佐々木にダンスのアドバイスをもらったときのエピソードを披露。佐々木からアドバイスをもらうと悔し涙を流してしまうことが多かったといい、「悔し涙ばかりじゃなくて、佐々木さんのように嬉し涙、感動の涙、いろんな涙を流せる人になりたいなと思いました」とコメント。川名は、佐々木とファンの間にあるあたたかな関係性に「佐々木さんって宇宙一のアイドルだなって思って。私の目指す先はここだなと」「これからも背中を追い続けていきたいです」と、佐々木が卒業した後の自身の目標も含めてメッセージを語った。 佐々木から心に残る言葉をたくさんもらったという橋迫は「心にとめて大切にしていきたい」と語り、マイクを通さずに佐々木へ「大好きです!」と特大の声で愛を伝えた。伊勢は、「寂しいですね、やっぱり」と冒頭から涙声に。彼女にとって佐々木は本当に大きな存在だったと語り、「(佐々木の卒業が)自分が変わるタイミングだなって。自分でも分からないけれど、佐々木さんからの『自信を持ってね』っていう言葉を大事に、これからも自分らしく生きていきたいと思います」と感極まった様子で語った。川村は、佐々木のパフォーマンス面での活躍に触れながら、「佐々木さんと一緒に活動できた期間は宝物です。長年のアイドル活動お疲れ様でした!」と佐々木のこれまでの活動をねぎらった。そして、上國料は「全員、やっぱり成長できるすごく大きな機会だと思うので、皆さんもアンジュルムのことを見守ってくれたらと思います!」とリーダーらしくコメント。 最後に佐々木が、改めてファンやメンバーへの想いを語るためにマイクを取った。佐々木は「今日が全部最後になるんだなあと」としみじみ語ると、「アイドル人生に一片の悔いなしです!」と朗らかに語った佐々木は、「そう思わせてくれたのは、皆さんだなと思います」と観客に語りかけると、「これからもアンジュルムのことを見守ってくださると嬉しいです。皆さん本当に、10年間、たくさんの愛を、ぬくもりをありがとうございました!」とファンへの感謝の気持ちを述べ、MCを終えた。 アンコールの最後は、メンバー全員が涙と笑顔を浮かべ、「THANK YOU,HELLO GOOD BYE」と「友よ」を披露。佐々木の企画したセットリストで行なわれた卒業公演は、大盛況の中で幕を閉じた。 文=HOMINIS編集部
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