オランダ代表、背番号10の系譜(5)凄すぎ…歴代最高の英雄! 歴史に名を刻む名選手
オランダ代表の背番号10は、ワールドカップ本大会で輝けないのか。時代を象徴する選手が身に着けてきた番号だが、必ずしも神聖な影響力を持っているわけではなかったのかもしれない。ところが、その不吉なジンクスを打ち破った者もいた。今回は本大会に出場したブラジル大会までのワールドカップ5大会でオランダ代表の背番号10を託された選手たちの活躍を振り返る。※所属クラブは大会前時点、年齢は初戦時点のもの
ブラジルワールドカップ
背番号10:ヴェスレイ・スナイデル(ガラタサライ) 生年月日:1984年6月9日(当時30歳) 個人成績:6試合出場/1得点2アシスト 監督:ルイ・ファン・ハール 戦績:3位 4年前の南アフリカ大会と比較すれば、スナイデル自身のパフォーマンスは下り坂に差し掛かっていた。所属クラブも欧州4大リーグよりも格が下がるトルコのガラタサライで、背番号10としての存在感にも衰えが見え始めていた。 さらに当時のオランダ代表への期待値は低く、スペイン代表やチリ代表といった強豪と同居したグループリーグは苦戦が予想された。そんな中でルイ・ファン・ハール監督は守備的な戦術を採用し、スナイデルは5-3-2のトップ下に入る。 5バックで手堅く守って、手数をかけずにゴールまで迫る戦い方の中で、スナイデルはセットプレーのキック精度やラストパスの局面で違いを見せる。グループリーグ初戦は前回大会決勝で敗れたスペイン代表だったが、王者相手にオランダは5-1という大勝を収める。背番号10はフリーキックでステファン・デ・フライが決めたチームの3点目を演出し、終盤にはロッベンのダメ押しゴールもお膳立てする2アシストの活躍だった。 ラウンド16のメキシコ戦では、1点ビハインドを背負って迎えた終盤の88分にドラマが。コーナーキックのボールを途中出場だったクラース=ヤン・フンテラールが頭で落とし、こぼれ球をスナイデルが豪快にゴールへ蹴り込んだ。背番号10の起死回生の同点弾で勢いづいたオランダ代表は後半アディショナルタイムにフンテラールが劇的な逆転ゴールを奪って準々決勝の切符を手繰り寄せた。 準々決勝のコスタリカ代表戦をPK戦の末に突破し、準決勝ではアルゼンチン代表と対峙した。この一戦も0-0のままもつれて延長戦でも決着つかず。PK戦に突入するとスナイデルは3人目のキッカーとして歩み出たが、渾身のキックは相手GKセルヒオ・ロメロにセーブされてしまう。この1本の失敗が響き、オランダ代表は2-4でPK戦を落とし決勝進出を逃した。 筋肉系のトラブルで3位決定戦を欠場したため、スナイデルのワールドカップでの最後の試合はアルゼンチン戦となった。2018年ロシアワールドカップ直前の同年3月にオランダ代表からの引退を表明。A代表通算133試合出場は、オランダ史上歴代最多の記録となっている。
フットボールチャンネル