400度の『高温スチーム』で嫌な“臭い”をとるトイレ…「臭くて、汚い」トイレ問題が深刻な被災地で稼働中【能登半島地震】
能登半島地震の被災地では、断水によって「トイレの問題」が深刻化しています。一部のトイレは糞尿がたまり不衛生な状態で、ノロウイルスなどの感染症も確認されています。そんな中、約400度の高温の蒸気を吹き付けることで、臭いを強力に抑えるトイレが被災地で稼働しています。 【写真で見る】約400度の高温の蒸気を吹き付けて臭いを強力に抑えるトイレ
「臭くて汚いトイレ」を敬遠して脱水症状のリスクも
能登半島地震の被災地では、多くの人が避難所生活を余儀なくされています。断水の続く地域では、トイレの水が流せないため、便器をポリ袋で覆い、凝固剤で汚物を固めて新聞紙にくるんで捨てることもあります。避難所には仮設トイレが設置されているものの、一部のトイレは事実上、使えなくなっていました。 小学校に避難している人: 「水が流れず、だんだんと溢れてきて大変でした」 「収集車に汚物を入れたら破裂してしまって、まき散らされて…」 「おしっこは堪えられないけど、大便は長いこと行かなかったです」 「臭くて、汚い」という声が相次ぎ、ノロウイルスの感染も確認された避難所もあります。トイレに行く回数を減らそうと飲食を控える人も出てきました。不衛生なトイレを“敬遠”する動きが、結果的に脱水症状やエコノミー症候群につながることも懸念されています。
脱臭の仕組みは「400度の高温スチーム」
こうした中、大阪市の企業が開発した「臭わない仮設トイレ」が注目されています。金沢大学・廣瀬名誉教授が監修したもので、自動水栓が付いているほか、独自技術で臭いを抑えられるのが最大の特徴です。同じタイプの仮設トイレが、福岡市のアイススケートショーの会場に設置されていました。便器の下部に水蒸気の噴出口が付いています。 金沢大学・廣瀬幸雄名誉教授「過熱蒸気の発生器なんです。摂氏400度くらいの温度にした蒸気をシュッと吹き、臭いを消します。菌も消します。今まで汚物をビニールに入れて保管し、捨てていたと言うからみなさん喜ばれます。温水洗浄機能まで付いていたからビックリしていました」
脱臭トイレ10台が追加で被災地へ
この“脱臭トイレ”は、岐阜県からトラックで運ばれ、石川県珠洲市や七尾市などの避難所に計53台設置されました。 開発元インプルーブエナジー・中村優子さん「お年寄りや女性はトイレに不安を覚えていらっしゃいます。食事よりもトイレが大事と。抱きついて泣いてくれたり“ありがとう”と言われたりして、来たかいがありました」 脱臭トイレの一部は便座にヒーター機能も備えます。また、臭いが抑えられるため、トイレの中に暖房器具を置くこともできます。 開発元・中村さん「被災地はすごく寒いので、便座が温かいと喜んで頂いています。できたら普通の家庭と同じようなトイレをいろんな所に増やせたらいいと思います」 アイススケートの会場にある10台の脱臭トイレは、イベントが終わると被災地の石川県七尾市に運ばれ、現地で活用されることになっています。