神秘的な「溢れ出る液体」…男の心を鷲掴みにする伝説の踊り子の「驚異的な秘芸」の“秘密”
1960年代ストリップの世界で頂点に君臨した女性がいた。やさしさと厳しさを兼ねそろえ、どこか不幸さを感じさせながらも昭和の男社会を狂気的に魅了した伝説のストリッパー、“一条さゆり”。しかし栄華を極めたあと、生活保護を受けるまでに落ちぶれることとなる。川口生まれの平凡な少女が送った波乱万丈な人生。その背後にはどんな時代の流れがあったのか 【漫画】「だから童貞なんだよ」決死の覚悟の告白に女子高生が放った強烈な一言 「一条さゆり」という昭和が生んだ伝説の踊り子の生き様を記録した『踊る菩薩』(小倉孝保著)から、彼女の生涯と昭和の日本社会の“変化”を紐解いていく。 『踊る菩薩』連載第23回 『「濡れるのは当たり前」...東大講師をも虜にした伝説の踊り子が流す「しずく」の魅力』より続く
「しずく」の謎
ファンの心を捉えて放さなかった一条の芸「しずく」。神秘性ゆえに、その謎に関しては、多くの考察がある。 かまびすしい真贋論争のなか、「仕組まれた芸」と主張する代表格が元ストリッパーで浅草ロック座の会長だった斎藤智恵子である。 60年代初めにストリップを引退し、63年に栃木県佐野市で劇場を購入したのを手始めに、宮城県や長野県で劇場経営に乗り出していく。斎藤は一条を舞台に上げようと、大阪で彼女のロウソクショーを見た。 そのとき、彼女の指のすき間から、「しずく」が溢れ、流れ出した。場内は異様な静けさに包まれ、客が見入っているのがひしひしと伝わってきたと、斎藤は述懐している。
“氾濫”する液体
彼女はその後、一条と話をした。そのとき、秘芸「溢れ出る液体」について聞くと、一条はこう説明した。 「牛乳を湿らせたスポンジをステージに上がる前にアソコの奥に入れて、クライマックスのときにギューっと絞るの」 また、昭和40年代のストリップの人気を一条と二分した桐かおるも、一条がこう話すのを聞いたという。 「前もってスポンジに牛乳を湿らせておいて、舞台に上がる前にアソコの奥に入れる。そして、オープンのときにギュッと締めるの」 桐が、「でも、あの液体は白くない」と指摘すると、一条は「水に卵の白身なんかを混ぜて粘りをだしている」と説明したらしい。桐はこう語っている。 「舞台上の一条は女のなかの女。私が見ても惚れ惚れする色気がある。真剣さが違う。アソコを締めて、タラーリと出すなんて並のストリッパーではできない。あれは彼女の立派な技術でした」 一条本人はこの秘芸についてどう語っていたのだろう。 彼女は薬指の爪を他の指より1センチほど長く伸ばし、爪を使ってクリトリスを撫でたという。デビューからしばらくして、たまたま爪を伸ばしたままオナニーショーをしたとき、爪が秘部に当たって気持ちよくなった。そして指を少しなかに入れ、それを抜くと、指を追うようにしずくが溢れ出した。 「私自身は指先の感じが少し濡れているぐらいにしかわかんないんだけど、お客さんのほうから見ると、流れ出したものがライトを浴びて光り、それがたまらないらしい。あるお客さんによると、“氾濫”しているんですって」 『伝説のストリッパーの肉体から「シューッとこぼれんばかりに」…昭和の男たちの生きる源となった「聖なるしずく」の正体』へ続く
小倉 孝保(ノンフィクション作家)