「V2テーマは稲妻」5.6東京ドーム決戦に挑む井上尚弥が獰猛な“ホワイトタイガー”なら弟の井上拓真は俊敏な“トカゲ”
今回のV2戦には負けられない理由がある。 2019年以来、2度目となる兄とのW世界戦。前回は、WBC世界バンタム級暫定王者だった拓真は、同正規王者のノルディ・ウバーリ(フランス)に判定で敗れ、メインでは兄がノニト・ドネア(フィリピン)との激闘を制してWBSSでの優勝を飾った。 「前回よりも自信がある。楽しみだし最高のバトンを兄につなげたい」 東京ドーム決戦への参戦は拓真が父と一緒に大橋会長に直訴した。34年ぶりの歴史的1日に兄弟の名を刻みたい。同日に試合をやることで、練習や減量のペースも同じになり、互いに相乗効果が生まれるという。「尚が5ラウンドやるならオレは6ラウンド」というような刺激を受け合う日々に充実を感じているという。 そして、この試合の向こう側に見据えるのが団体統一戦だ。WBC世界同級王者は中谷潤人(M.T)、東京ドームのセミファイナルではジムの後輩である元K-1王者の武居由樹がWBO世界同級王者のジェイソン・マロニー(豪州)に挑戦し、5月4日には、大阪で西田凌佑(六島)が、尚弥がかつて2ラウンドで葬ったIBF世界同級王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)に挑戦する。武居は同門なので対戦不能だが、日本人がベルトを独占すれば、必然、統一戦実現の可能性が高まる。 大橋会長も「流れでいくと4人の日本人王者が誕生するかも。おもしろい。結果次第でいろんな展開が出てくる。査定マッチ?そういった意味でも今度の試合が楽しみ」と言い、隣の拓真に「やりがいあるよな?」と話しかけた。 「会長の期待に応えられるようなしっかりとした内容で勝ちたい」 最初のターゲットとしては、ロドリゲスと西田の勝者になるだろうが、指名試合の絡みもあり、次戦での統一戦の実現が難しい場合、故・穴口一輝選手との激闘を制した元日本バンタム級王者の堤聖也(角海老宝石)が対戦候補となる。 琢磨は、今回の試合に向けて制作したTシャツに「BUST THE LIMIT(限界を突き破れ)」という文字を入れた。 「前回の試合で、持っている技術をどう出すか、という自信がついた。殻を破った、という意味合いで、リミット解除という言葉にした。まだあれでは満足していない。さらにさらにという意味でね」 そしてトカゲをイメージしたイラストを描き込んだ。 飼って10年になるペットの「ヒョウモントカゲモドキ」を写したものだ。名前は「レビン」。SNSで募集してファンにつけてもらった名前で「稲妻」の意味があるという。 「稲妻のように勝つ。そうしときますか」 兄の尚弥は「パンテラ(黒ヒョウ)」の異名を持つネリに対抗して「ホワイトタイガー」をイメージした白黒模様をTシャツにデザインした。兄が獰猛な「ホワイトタイガー」なら弟は俊敏な「トカゲのレビン」。拓真はセミセミの第3試合に登場する。 (文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)
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