スプリンターズSで注目の血統は「ミスタープロスペクター系」出走する4頭のなかで特に注目なのは?
9月29日(日)、中山競馬場で3歳以上馬によるGⅠスプリンターズS(芝1200m)が行なわれる。 【写真】フジテレビ『みんなのKEIBA』MC竹俣紅アナ連載「写真館」 今年は、昨年の勝ち馬ママコチャ、昨年の2着馬で春のGⅠ高松宮記念を勝ったマッドクール、一昨年の2着馬で直近の4戦で重賞3勝のウインマーベルが出走予定。さらに、前哨戦のセントウルSを勝ったトウシンマカオ、前走のGⅢキーンランドCなど重賞2勝を含む3連勝中のサトノレーヴ、この春から夏にかけて重賞2勝した3歳牝馬ピューロマジックなど、実績馬から新勢力まで有力馬が揃った。 混戦で予想は難しそうだが、極めて楽しみな興味深いレースとなっている。血統的視点からこのレースを占っていこう。 このレースと相性がいい父系としてまず挙げられるのは、ミスタープロスペクター系だ。1995年のヒシアケボノ(父ウッドマン)を皮切りに、昨年まで実に11勝。ノーザンダンサー系の7勝、サンデーサイレンス系を含めたターントゥ系の7勝、ナスルーラ系の5勝など、かなり遡った大きな父系のくくりでもほかを大きく引き離している。 近年は2016年~2019年に4連勝。ここ4年は勝利こそないものの、2020年にダノンスマッシュ(父ロードカナロア)が2着、2022年にウインマーベル(父アイルハヴアナザー)が2着に入っている。 今年は4頭のミスタープロスペクター系が出走予定だが、そのなかで本命に推したいのはウインマーベル(牡5歳、美浦・深山雅史厩舎)だ。
同馬は2年前、タイム差なしのクビ差2着に入った実績馬。2022年のGⅢ葵S(京都・芝1200m)以来1200mでの勝利はなく、近4戦で3勝した重賞勝ちはGⅡ阪神C(阪神)、GⅢ阪急杯(阪神)、GⅡ京王杯スプリングC(東京)といずれも1400mだ。高松宮記念も12着と敗れており、1200mの距離を不安視する見方もあるかもしれないが、昨年のこのレースも6着ながら勝ち馬と0秒4差と内容は悪くなかった。 今年は前2年の経験を踏まえ、過去2年ステップレースにしていたGⅢキーンランドCに出走せず、京王杯スプリングCから約4カ月半ぶりの出走となる。過去、4カ月以上のレース間隔で出走したことはなく、ローテーションに不安は残るが、ベストと判断しての臨戦過程だけに陣営を信じたいところだ。 父系を遡ると4代目でフォーティナイナーに辿り着くが、この父系は2016、17年レッドファルクス(父スウェプトオーヴァーボード)、2018年ファインニードル(父アドマイヤムーン)とスプリンターズSを3連覇している。この3頭がレースを制した時の馬齢は、レッドファルクスが5、6歳時で、ファインニードルが5歳時。さらに、ほかの父系ではあるが、2022年の勝ち馬ジャンダルムも7歳でのGⅠ初制覇と、このレースは5歳以上馬の成績がいい傾向が見られる。5歳を迎えたウインマーベルにとっても、これまで積み重ねてきた経験は今回、実になりそうだ。 もう1頭、血統的に見逃せないのがサトノレーヴ(牡5歳、美浦・堀宣行厩舎)だ。父ロードカナロア、母の父サクラバクシンオーは、ともにこのレースを連覇した名スプリンター。このレース史上初の父仔制覇がかかる存在だ。 10歳上の半兄ハクサンムーンも、GⅡセントウルSなど重賞で3勝したスプリンター。2013年のスプリンターSではロードカナロアに次ぐ2着に入っている。GⅠ制覇を果たせなかった兄の無念を、兄のGⅠ勝ちを阻んだロードカナロアの血を入れることで晴らそうとしているのは、血統のドラマや面白さを感じる。ちなみにこの馬も、父系を遡るとミスタープロスペクターに辿り着く。 以上、今年のスプリンターズSは、ミスタープロスペクター系の2頭、ウインマーベルとサトノレーヴに期待する。
平出貴昭●文 text by Hiraide Takaaki