『ライオンの隠れ家』向井理演じる祥吾は“悪人”なのか? 終盤の展開を考察
洸人(柳楽優弥)が愁人(佐藤大空)の誘拐犯に仕立て上げられそうな予感
母子が行方不明真っ只中にも関わらず祥吾がキャバクラで笑顔を振りまいていたのは、彼が“地上げ屋”だからなのだろう。この1年は平社員として政治家を接待し、市民に頭を下げ、裏では犯罪スレスレの行動をする会社の汚れ役だったと思われる。こうした仕事のストレスからDVを起こしたのではないか。 一族経営の中で平社員というのが、もしかしたら小森家における愛生のように、異母兄弟で後から家族に加わったのか、もしくは養子や愛人の子だったりするのかもしれない。そうしたプレッシャーからも事業を成功させようとストレスが溜まっていった可能性も。 愛生が小森家のことを黙っていたのは、単純に過去のことを教えたくなかったのか、それとも祥吾の複雑な環境から気を使ったのか。この辺りは結婚報告で小森家に来ていた時に吉見(でんでん)の店にも寄った可能性もあるので、事情を知っているような気もする。 とはいえ、愛生が過去を隠しての結婚はかなりの訳あり。実は愛生が誰かの愛人で会社のための偽装結婚という線も無きにしも非ず。それこそ、遊び人の亀ヶ谷議員なだけに、彼の愛人だったり、かすみがタレ込んだ「元秘書との良からぬ噂」から、愛生がその秘書でもおかしくなく、極端な発想をするなら、この1年の間に愁人の実の親が亀ヶ谷議員だとDNA鑑定で分かったとなればDVに走る理由も見えてくる。少なくとも自分の子ではないと分かったらどうだろう。また、もし自分が親の愛情を知らずに育ったのなら、躾の仕方が分からない人とも考えられる。この辺りは楓と天音の記者コンビが真相を追求してくれるはず。 他にも愛生と疑われた死体が全くの別の事件のものか、建設絡みの人物なのか、それも追求してくれるはずで、それまでは洸人がしっかり愁人を保護することしかできないだろう。ただ今のところ祥吾が実際にDVをしているシーンはないので、それが真実なのかわからず、他に何か逃亡する理由があるのかもしれない。 今後の展開については、洸人が愁人の誘拐犯に仕立て上げられそうな予感。愁人について警察と行政に相談していなかったことが裏目に出るだろうし、祥吾の部下・樺島(後藤剛範)がどうも武闘派で悪そうな奴なので、この辺りが洸人を誘拐犯として工作したり、週刊真相編集長の田島(池田鉄洋)が、スクープ欲しさに楓と天野の許可を得ず洸人や母子行方不明事件の飛ばし記事を書きそうだ。それが原因で愁人や小森家が追い詰められそう。第7話の予告を観る限り、居場所がバレてしまい3人が逃避行することになるようだ。 たちばな都市建設の不祥事がメインの物語なら、愛生が実は不正データを持っていて事件に巻き込まれているなど単純な逃避行ではない展開もある。ただ、今作はあくまでも家族愛や兄弟愛の変化を描く愛と絆の物語がテーマのはずなので、終盤はそこまで事件を広げるかは疑問だ。互いに支え合いながらも自分の人生を歩みだし、最後に愛生と愁人が抱き合う展開が見られるのか。いずれにせよ、3人それぞれが笑って暮らせるエンディングを期待したい。
本 手