『虎に翼』の忘れられないベストシーンは? 珠玉の名場面(2)悲劇の死を遂げた青年に共感…心震えたやりとり
伊藤沙莉主演のNHK朝ドラ『虎に翼』。本作は、昭和初期の男尊女卑に真っ向から立ち向かい、日本初の女性弁護士、そして判事になった人物の情熱あふれる姿を描く。9月27日に最終回を迎え、現在配信中のNHKプラスやNHKオンデマンドでは、歴代朝ドラで最高視聴率を樹立した。今回は、珠玉の神シーンを5つ紹介する。第2回。(文・あまのさき)
第4週 謝罪する花岡を諭す梅子
寅子たちとともにハイキングに出かけて口論となり、怪我で入院してしまった花岡(岩田剛典)。きっかけとなったのは、花岡が梅子(平岩紙)に放った心ない言葉だった。 退院の日、花岡は梅子に非礼を詫びる。そして、自身の苦しい胸の内を吐露するのだった。男性社会のなかで舐められないように、男性はこうあるべきというテンプレートを踏襲してしまっていた花岡。 だが、彼は「こんな人間になりたくない」し、「どれも本当の自分じゃない」と梅子にこぼす。 それを聞いていた梅子は、「持っている顔はひとつじゃない」「全部花岡」なのだとしたうえで、「本当の自分に近づけるように」と励ます。 花岡がこの局面でしっかり謝罪の言葉を伝えられることと自己理解が深いことに舌を巻くとともに、梅子の懐の深さが視聴者の涙を誘った。そして、いわゆる男性社会の生きづらさにも言及する点もとてもよかった。 きっと口にはせずとも花岡のような感情を抱いていた人はいるはずで、彼らにとっては深く共感できる場面だったことだろう。 (文・あまのさき)
あまのさき