見たいのは”疲れ果てたヒーロー”の姿! 元F1ドライバーのクルサード、今のグランプリに嘆き「全開で走ることが少なすぎる……これでいいのか?」
1994年から2008年にF1に参戦、ウイリアムズやマクラーレンのドライバーとして活躍した後、今ではF1中継の解説などを務めるデビッド・クルサードは、今のF1について全開で攻めるシーンが特にレースでは少なくなっていると指摘。タイヤマネジメントが重要になりすぎている現状を改めるべきだと主張した。 【ギャラリー】F1史上最も醜い、2014年のF1マシン全車 クルサードは、ジョーダン・グランプリの創設者であるエディ・ジョーダンとポッドキャスト「Formula For Success」に共同司会として出演し、現在のF1について厳しい論調で指摘した。 「私としてはグランプリレースは、最初から最後までできるだけ速く走ることであるべきだと思う。燃料やタイヤをマネジメントするレースではないはずだ」 クルサードはそう語った。 「もちろん、タイヤをマネジメントするのは、常に重要な部分だ。しかし今のF1は、耐久レースやスポーツカーレースの方向に進みすぎてしまっているように思う」 そう語るクルサードは、今のF1はドライバーの身体的に少し楽になりすぎてしまっているのではないかと指摘する。レースが終わった後、「グランプリを走り終えたように」疲れ果てているドライバーの姿を目にすることはほとんどないと考えているのだ。 「昨年のカタールは、その好例だった。確かに『彼らはこんなにキツい思いをさせられて可哀想だ』と言う人もいる。しかし私は『素晴らしい! 私が見たいのは、グランプリカーから降りてくるヒーローたちなんだ』と思うんだ」 この意見には、やはり元F1ドライバーのラルフ・シューマッハーも同調する。シューマッハーもこのポッドキャストに出演し、次のように語った。 「我々の頃は、毎回が”スプリントレース”のようなモノだった。全ての周回で、100%の力を出し切らなければいけなかったんだ」 「今では予選では確かに全開だけど、決勝ではペースがものすごく遅くなっている。それは、僕としてはちょっと遅すぎると思う」 その一方でシューマッハーは、今のF1マシンは安全性が格段に上がっているため、若いドライバーが”無茶”する傾向にあると心配している。 「若いドライバーの中には、リスクを冒しすぎている人もいるように思う」 そうシューマッハーは言う。 「彼らは、マシンが非常に安全だという事実に、慣れすぎてしまっているんではないだろうか。特にF2やF3のような若いクラスのドライバーたちのドライビングを見てほしい。僕としては少しばかり驚かされることがあるね」
Ruben Zimmermann