「どうする習近平」 中国格付け見通し「ネガティブ」に
ジャーナリストの佐々木俊尚が12月6日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。米格付け会社による格付け見通しが「安定的」から「ネガティブ」に変更された中国の今後について解説した。
ムーディーズ、中国格付け見通し「ネガティブ」に
アメリカの格付け会社ムーディーズは12月5日、中国の格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更した。中期的な経済成長率の低下や不動産部門の縮小が理由。ムーディーズは、中国の成長減速・債務増加見通しを踏まえて2017年に格付けを1段階引き下げ「A1」としていたが、それ以来の調整となる。 飯田)格付け会社によって表現はいろいろですが、「A1」は「シングルAプラス」ということで、最上位から5番目の格付けだそうです。
不動産バブルの崩壊で厳しい状況の中国経済
佐々木)もはや中国経済はどうにもならない状況ですね。不動産バブルの崩壊が地方財政にまで影響を与えている。日本であれば「土地から入ってくる税金が少なくなったのか?」というくらいのイメージですが、中国はすべて国有地で、日本のような私有財産の土地はありません。地方自治体が国有地である自分たちの土地を企業に貸し、もしくは売って、その売り上げで地方財政が潤う仕組みだったのです。しかし、不動産バブルが崩壊したことで、地方自治体に入ってくる金がなくなってしまった。 飯田)不動産バブルの崩壊で。 佐々木)それによって財務が悪化していった。中国の地方公務員が「もう給料を半年も貰っていない。動物の餌もなくなったので間もなく飢え死にする」という悲惨な貼り紙をしているという報道もありました。そういう状況なのです。
不安感からタワーマンションを買い日本へ移る中国人富裕層
佐々木)地方自治体だから、土地の収入が減れば国政に影響がある。加えて、習近平体制になってからはIT企業への締め付けが強くなり、一時はアリババ創業者のジャック・マー氏が東京に逃げていました。 飯田)そんな話もありましたね。 佐々木)もう帰国したようですが、富裕層の間で不安が広がっています。中国は文化大革命などがあり、社会や政治が安定していなかったので、国に対する不信感がすごく強かった。だから経済が回らなかったところもありますが、鄧小平政権以降は改革開放路線になり、30~40年の間に国に対する信頼が高まったのです。「国内へ積極的に投資し、みんなで経済を盛り上げよう」と動いてきたのですが、その信頼が裏切られつつある。一斉に目が国外に向いているのです。中国の富裕層は国内にいると怖いから、東京にマンションを買って日本に移る人が増えています。東京の湾岸にできたタワーマンションが、中国人富裕層だらけになっているという報道もあります。