敵地5戦5発「僕に懸かっている」 27歳FWは「貴重」、発揮したい駆け引きの感覚【コラム】
クロスで生きる小川の特性「いい関係性でチームを勝利に導ける」
そうした役割をこなしながら、5バックのインドネシアからゴールを奪うのに有効になってくるのが、サイドをえぐったところからのクロスだ。右サイドの主力を担う堂安律(フライブルク)に関して小川は「本当に彼の特長は誰よりも分かっている自負というか、分かっている」と前置きしながら「彼がしたいことと、気持ち良くやらせてあげるところと、僕が大事なところで、ボックスの中にいるっていうところ、彼も僕をしっかりと見てくれれば、お互いがウィンウィンというか良い形で、いい関係性でチームを勝利に導ける」と語る。 その堂安と、右サイドのWレギュラーと言ってもいい存在である伊東純也(スタッド・ランス)に関しては相性がいいということを過去にも語っていたが、改めて小川は「シンプルに合うっていうか、いいボールが来るというだけの話で。キックの質も高いですし、本当にヘディングで当てればゴールに入るようなクロスをくれる」と説明した。小川の見解について伊東は「普通に蹴っているだけですけど(笑)。航基とかはボックス内の駆け引きの後のワンタッチのヘディングだったりが得意だと思うので。そこにうまく合わせられればいいなと思います」と答えている。 小川の同僚で、仲良しであるというカルヴィン・フェルドンクやセリエAのヴェネツィアで主力を張るジェイ・イツェスなど、ディフェンス陣に欧州ベースの屈強なタレントを揃えるインドネシアに対しても、堂安や伊東、あるいは左サイドの三笘薫(ブライトン)や中村敬斗(スタッド・ランス)からのクロスにうまく合わせることができれば、アウェーでの得点記録を伸ばすことは可能だろう。オランダリーグで5得点、ここ2試合で3得点を記録している小川は「ボックスの中で駆け引きして、いいところに入っていける」感覚があるという。それを代表戦でも発揮して、最終予選の折り返しとなるゲームで日本を勝利に導けるか。 今回は約1年ぶりの代表復帰となる古橋亨梧(セルティック)や前回に続く招集となった大橋祐紀(ブラックバーン)という小川とはタイプの異なるストライカーがおり、サイドの出場が増えている前田大然(セルティック)も前線での選択肢になってくる可能性がある。これまで前線を牽引してきた上田がいない状況だからこそ、そうした選手たちの競争が“森保ジャパン”を活性化する期待は高い。そのなかでも小川の存在感と決定力というところに注目してみたい。 [著者プロフィール] 河治良幸(かわじ・よしゆき)/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。
河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji