高3で日本代表候補に選ばれたときは「いいのかな……」 大学では代表経験をチームに還元、東京医療保健大ルーキー・絈野夏海
「自分が選ばれていいのかな」と悩んだ高校時代
小学1年の時、5歳上の姉に連れられバスケの練習に参加したことが始まりだった。3ポイントシュートが注目されがちな絈野だが、中学生までは3ポイントをほとんど打たず「ドライブしかできなかった」という。現在のプレースタイルが確立されていったのは、高校時代。「岐阜女子に入ってから安江満夫先生や面髙春奈先生から3ポイントシュートを教えてもらって、3ポイントとドライブどっちも武器になりました」 高校3年の時には日本代表候補に選ばれた。「正直自分が選ばれていいのかなという気持ちでした。日本代表の試合を見てすごいなと思っている選手と自分がやるっていうのは、想像がつかなかったです。自分はネガティブ思考なので『自分が行っていいのかな』とマイナス方向に考えてしまっていました」と当時の気持ちを振り返る。 男子選手に比べて女子選手は高校卒業後、すぐにプロの道に進む選手も多い。それでも大学進学を選んだのには二つの理由があった。 一つ目は「プロに行っても通用しない。大学で経験を積んでからでも遅くない」というアスリート的な考え。二つ目は「大学生ライフを楽しみたい」という等身大の学生ならではの考えだ。憧れの大学生ライフはどうですか? と聞くと「1年生なのでまだ必修の授業が多いです。医療情報学科にいるのでパソコンを使う授業が多くて……。全然パソコンができなくて苦戦してはいるんですけど、楽しいです」とはにかんで答えてくれた。部活は、新人戦へ応援に駆けつける明るい先輩をはじめ「仲が良いチーム」で充実しているようだ。
前を向くルーキーはオリンピックを見据える
「代表合宿で学んだことをチームに還元しなければいけないと思っています」 代表合宿では練習中の声掛けやプレーの質、当たりの強さなどたくさんのことがハイレベルに展開されていた。特に「キャプテンの林咲希さん(富士通レッドウェーブ)はいつも周りに気を配って、声をかけてくれるんです。自分が理解していないと悩んでいた時も「大丈夫? ここ分かる?』って。視野の広さがすごいなと思います」。大学に戻ってからは学んだことを意識して、周りに声かけしているという。 2季目に入った代表活動では気持ちが少し前に向いている。「今でもまだちょっと不安はあります……(笑)。でも、選んでもらっている以上はやるしかない。自分の強みを出せるようにというのは思っています」 これから長い大学生ライフ。ゆくゆくは「候補ではなく日本代表に。オリンピックに出てメダルを取って、オリンピック選手になることが目標」だ。