神村学園、4番正林輝大が甲子園に残した足跡 2試合で打率5割超え「自信になりました」【選抜高校野球】
◆第96回選抜高校野球大会2回戦 大阪桐蔭4―2神村学園(27日・甲子園球場) 全国トップクラスの強豪を相手に、神村学園が昨夏の甲子園4強の意地を見せた。3点を追う最終回。先頭打者の3番今岡拓夢(2年)が中越えの二塁打を放ちチャンスをつくると、続く4番正林輝大(3年)の左翼線への適時二塁打で1点を返した。「塁に出れば正林さんが絶対打ってくれると思った。走者が出た状態で正林さんに回したかった」という今岡の思いに応えた4番の一打。「次につなぐ気持ちで打席に立ちました」。正林は前の打席で空振り三振に取られたチェンジアップを捉えて1点を返し、最後に一塁側アルプスを沸かせた。 ■〝死の組〟神村学園は8強逃す【選抜組み合わせと結果】 昨夏と同じ4番を任された正林は2度目の甲子園でしっかりと足跡を残した。この日のチーム4安打のうち3本が正林の安打。1回戦の作新学院戦では大会2号となる本塁打を含む2安打を放ち、2試合で打率は5割を越えた。「レベルの高い投手から打てたのは自信になった。追い込まれて簡単に三振したり、当てにいったりしたところが課題。4番である以上はしっかりスイングして打席を終えたい」。自信とともに課題も見つかった。 大阪桐蔭の打線の怖さも目の当たりにした。5回には1番境亮陽(3年)の右翼フェンスに届く特大のランニングホームランで1点を追加された。自らの頭上を越えた飛球に。正林は「新基準のバットになってから高く上がった打球は伸びなくなったけど、あの打球は思った以上に伸びてきた。相手の打者はスイングに力があるので、差し込まれても外野まで飛ばしてきた」と驚いた。 チームで一番のパワーを誇り3年生と一緒にプレーした昨年から4番を任されている。低反発バットに変わり、冬の練習では芯に当てる練習を繰り返し体重も増やした。「体重が増えたことで技術も上がってきた。厳しいコースを攻められても長打も単打も出たので自信になりました」。練習の効果は甲子園で出すことができたが、さらにレベルアップが必要だと痛感。「反省点がいっぱい出たので、それに向き合って夏までに修正してまた戻ってきたい」と自らに誓った。 初出場で準優勝した2005年以来の8強入りはならず、大阪桐蔭の西谷浩一監督に甲子園最多勝利数の記録を塗り替える69勝目を献上してしまった。小田大介監督は前日のミーティングで「歴史をつくるのも大事。歴史をつくらせないのも大事」と選手に話していたが、4失策が失点に絡んだ悔しさの残る試合となった。「優勝候補の相手と1回戦から当たっていろんなことを学べたし、日本一になるには大阪桐蔭とかを倒していかないとなれない。いい経験を得られました」と正林は夏のリベンジを誓う。甲子園の悔しさは甲子園で晴らすしかない。 (前田泰子)
西日本新聞社