『劇場版ドクターX』田村監督、亡きライバルと築いた唯一無二の世界観 12年の歴史で幕「夢を叶えてくれた」
米倉さんもそういうエネルギーがある方なんです。完璧に覚えて、自分の中でやるんですけど、彼女のすごいところは、緊張感が常にあるんです。戦っているわけではないけど、馴れ合いには絶対ならないんです。テレビドラマから妥協するシーンが一つもないので、大門未知子はこの人じゃなきゃできなかったのかなと本当に思います。
『ドクターX』成功の裏に亡きライバル監督の存在
Q:田村監督にとって『ドクターX』はどんな作品でしたか? 私も弟と同じく医者を目指して医学部を受けて、今の仕事に就きました。運よく内山さんが医療ドラマをやりたいと言ってくださり、メインでやらせてくださいと直談判して、米倉さんとずっと組んでいた松田秀知さんというライバル監督もいらっしゃるなかで、内山さんは私を起用してくださいました。だからこそ、プレッシャーもすごかったです。でも、人が作っているものを真似しても意味がないと思い、手術シーンもアクションのようにしたかったですし、医療ドラマをエンターテインメントにするためにはどうするかを私なりにも考えました。最後となる劇場版も双子の話になっているので、勝手に自分のストーリーと重ねています。
ドラマとしても最高ですし、個人的にもやりたかったことができて、こんなにも長く皆さんが愛してくれて、映画化までされたことは感無量です。ここまでハマるのは運や役者さんのハマり具合もありますし、そういう意味では、すごく恵まれた番組でした。(視聴率)20パーセントは目標だったので、夢を叶えてくれました。
そして、亡き松田さんが一緒に作ってくださったこと。私はチーフでしたが、 松田さんとダブルチームみたいに切磋琢磨しながら作った感じがします。年齢も私より20歳ぐらい上でしたが、遠慮なくガンガン来てくださるので、最初は衝突こそありましたが、そのおかげでここまで面白くなりました。 そういう意味では、本当にありがたいし、修行にもなりました。最終的に『劇場版ドクターX』では監督をやっていますが、世界観は松田さんと一緒に作ってきたもの。松田さんに感謝しています。