「ジャック・マー」から「レッドブル創業者」まで…「世界の億万長者」がニセコに集まる理由
今や世界中から富裕層がこぞって訪れる冬の高級リゾート地となった北海道ニセコ。どうやってニセコはインバウンドをものにしたのか。海外の富裕層を取り込む外国資本の戦略、日本の観光に足りていないものとは何なのか。ニセコの成功の背景を、リゾート地・富裕層ビジネス・不動産投資の知見をもつ筆者が、これらの謎をひも解く。 【写真】習近平の第一夫人「彭麗媛」(ポン・リーユアン)の美貌とファッション *『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』(高橋克英著)より抜粋してお届けする。 『なぜニセコだけが世界リゾートになったのか』連載第16回 『「中国本土の投資家」が仕掛けるニセコ再開発…その「規格外な現状」と「隠された目的」』より続く
アジア随一の「パウダースノー」
中国では、2022年2月に北京冬季五輪が開催されることになっている。中国初の冬季五輪開催を契機に、国家が率先してスキーの普及活動に力を注いでおり、また国民の所得水準向上もあって、中国のスキー場もスキー人口も大きく増加するとみられている。 ただし中国のスキー場の多くはニセコのようなパウダースノーではなく、アイスバーンだらけの硬い雪質であったり、人工雪であったりする場合も多い。 このため、パウダースノーを誇るニセコをはじめ日本国内のスキー場は、アジアのなかでは特に競争力があり、ニセコの知名度は中国を含めたアジア全体でも非常に高い。コロナ禍後には、もっと多くの中国人スキーヤーがニセコを訪れるとみられている。
海外富裕層を惹きつけるニセコ
香港やシンガポール、マレーシアといったアジアの友好国・地域だけでなく、政治的、安全保障上の対立とは別に、近隣諸国である韓国や中国からの経済的な直接投資が増えるのは、好ましいことだ。 ニセコではアジア資本を中心に外資系企業による100億円規模の大型投資も珍しくなくなったし、中国アリババグループの創業者であるジャック・マー氏や、レッドブルのタイ人創業者の別荘などがあるといわれている。 外国資本による開発と相まって、こうしたカリスマ経営者のニセコ拠点の存在は、ますます多くのアジアをはじめとした海外富裕層の関心を惹きつけることになるだろう。 『“外国資本”に「喰い荒らされる」ニセコ…巻き返しを狙う日本勢の「一発逆転」の“秘策”』へ続く
高橋 克英(金融アナリスト)