人気バンドMrs. GREEN APPLEの最新MVが公開停止 歴史や人種への無自覚さが問題に
際立つ「ヨーロッパの偉人」とそれ以外という対比
MVに登場するコロンブス以外にも、ナポレオンやベートーヴェンも、ヨーロッパ出身の人物。こうした西洋の歴史的な人物たちが、類人猿に人力車を引かせ、楽器の演奏や馬の乗り方を指導する。 MVやプレスリリースからは、類人猿のモチーフ自体に未文明的な存在という以上の意味──例えば、それが実在した先住民たちを指すような歴史的な意図が込められている、と言い切るのは難しい。 しかし、そうした意図の薄さや屈託の無さこそが、「ヨーロッパの偉人」と、それ以外の未文明な存在という対比を際立たせている。 「コロンブス」のMVは、西欧がその他を支配するという西欧中心主義、植民地主義を無自覚に肯定する作品であると言っていい。 MVに合わせて(地理的に東洋であるはずの)日本のバンドメンバーが歌うポップなメロディーが流れる様子は、とても衝撃的ですらある。
ユニバーサルミュージックが声明を発表
YouTubeのクレジットでは、Planning Directorとして大森元貴さんの名前が表記されていた。 ユニバーサル ミュージックは6月13日午後、批判の高まりを受けてか、Mrs. GREEN APPLEの公式サイトで「コロンブス」のMVの公開停止を発表した。 発表ではEMI Recordsと所属事務所Project-MGAで制作されたと説明。 「今後はこのような事態を招くことのないよう細心の注意を払い、皆様にお楽しみいただける作品をお届けしてまいります」と締めくくられている。
6月13日17時27分追記:ミセスのボーカルギター大森元貴も謝罪を発表
6月13日夕方頃、Mrs. GREEN APPLEの公式サイトが更新。ボーカルギター・大森元貴さんがMVに関して謝罪し、内容に関する当初の構想など経緯を説明した。 それによると、当初は「年代別の歴史上の人物」「類人猿」「ホームパーティー」「楽しげなMV」といった主なキーワードを、MVの初期構想として提案したという。 その上で「類人猿が登場することに関しては、差別的な表現に見えてしまう恐れがあるという懸念を当初から感じておりましたが、類人猿を人に見立てたなどの意図は全く無く、ただただ年代の異なる生命がホームパーティーをするというイメージをしておりました」と釈明した。 意図とは異なる伝わり方への懸念はあったものの、「スタッフと確認し合い、事前に特殊メイクのニュアンス、衣装、演じ方のフォロー、監修をしていたつもり」だったとしつつ、「そもそもの大きな題材として不快な思いをされた方に深くお詫び申し上げます」と謝罪している。