同じ病気だった兄の死を乗り越え「脊髄性筋萎縮症」と生きる日常を発信 重度障害者が自立できる社会へ…たかやさんの挑戦
重度障害者が自立できる支援体制づくりに奮闘中
現在、たかやさんが動かせる部位は左手首から指先、右手の指、首、口、目。左手の握力は1kgなく、パソコンやスマホを使うだけでも疲れてしまうそう。 背骨が左右に曲がった「側湾症」という状態であるため、自力で車椅子に座ることは難しい。車椅子上では特殊な支えをつけ、座位を保っている。 2年前、同じ病気のお兄さんが逝去した時には言葉に表せない悲しみや不安、恐怖に襲われたそう。だが、今ある幸せを感じ、悔いのない人生を送ろうと心の整理をつけた。 「周りの人と違うことで悲しい思いをしてきた人は、相手の痛みや悲しみが分かる人間になれる。人が辛い思いをしているのを分かる人は、優しい人間になれると思う。兄と同じ道を進むことは分かっているので、できることを精一杯やって社会貢献したいです」 そう語るたかやさんは、同じ病気を持つ人に「未来が真っ暗とは思わないでほしい」とエールを送る。 「元気な人と比較しないで、昨日の自分と今の自分を比べて生き、成長することを考えてほしい。障害があるから得られる“素敵な心”がある。諦めず少しずつ前に進んでいけば、障害があっても幸せは訪れ、未来が明るくなることを忘れないでほしいです」 なお、たかやさんは自身が自立までに3年近くの年月を費やしたことから、重度訪問介護が周知されて介護士が増えることを願っている。 「私はヘルパーさんのご支援が24時間365日ないと自立して生きることができませんが、日本の福祉は人手不足で、重度訪問介護のヘルパーさんを何十人も探すことが、とても大変です。また、新人ヘルパーさんが介助に入ってくださる場合は起床から就寝時までの介助を共有しなければならないので、気力と体力が必要です」 次の世代を生きる重度障害者が同じ経験をしないためにも支援体制が構築され、円滑に支援が受けられるような社会になってほしい。その想いが、たかやさんの原動力だ。 また、自身が断られることが多かったため、難病を持っていても住みたい物件で生活できるよう、重度障害者に対する不動産関係者の理解が広まることも願っている。 当事者が抱える課題とリアルな声を発信し続けるたかやさんの活動は、脊髄性筋萎縮症と生きる人の未来を明るくしていくはずだ。 (まいどなニュース特約・古川 諭香)
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