「お金とスポンサーがより重要」――クリンスマン更迭で揺らぐ韓国 前任監督の“ボヤき”に再脚光
春の嵐が吹き荒れた。 現地時間2月15日、ソウル市内で大韓サッカー協会(KFA)が戦力強化委員会を開催。強化委員長であるミヒャエル・ミュラー氏や技術部長のファン・ボガン氏、さらにはKリーグクラブの現役監督ら7名が出席した場で「後任が必要だという意見で一致した」(ファン・ボガン氏談)とし、ユルゲン・クリンスマン監督の解任を断言した。 【動画】韓国メディアが猛反発 ヨルダンイレブンの国旗掲揚シーン そして、国民からの逆風には“御大”も抗おうとはしなかった。16日に緊急的に記者会見を実施したKFAのチョン・モンギュ会長は「選手能力を引き出す能力、選手管理能力、リーダーシップなど、私たちが期待した姿を見せてくれなかった」とクリンスマン監督を批判。正式に解任を発表した。 カタールでのアジアカップ後に一気に外国人指揮官への不信が溢れ出た韓国サッカー界。この不安定な現状を受け、“前任者”の発言がクローズアップされている。それは22年11月にポルトガル人指揮官のパウロ・ベント監督(現UAE監督)が放ったそれである。 当時、カタール・ワールドカップを目前に控えていたなかで、ベント監督は国内選手たちの過密日程に憤怒。公式会見の場で「選手の休憩は重要ではなく、お金とスポンサーがより重要なようだ」と批判すると、「韓国では代表チームを重要と考えていないようだ。ワールドカップで良いパフォーマンスを披露してほしいという思いはあるようだが、チームや選手を正しい方法で助ける考えが全くない」と内情を晒したのであった。 迎えたカタール・ワールドカップ後にチームから退いたベント監督。そんなポルトガル人指揮官の後任として据えられたクリンスマン監督も、またもKFA幹部との問題を抱えて解任となり、韓国のスポーツ専門局『MBC』は、「すでにベント監督は韓国代表の問題を知っていたのだ」と指摘。当時の苦い記憶を思い出すメディアも少なくない。 クリンスマン監督の解任発表会見で「監督としての役割と態度が期待に及ばず、今後に向けて改善しにくいという判断がされ、監督交代を選んだ」というチョン・モンギュ会長。そんな御大を中心に波紋を広げている人事が落ち着くのは、まだまだ先か。 [文/構成:ココカラネクスト編集部]