実写化成功のカギはどこにある? 脚本家・野木亜紀子が原作ファンを唸らせてきた理由
ストイックに良作を作り続ける実写ドラマ職人
早い時期から野木の才能を見抜いていたのが、『図書館戦争』シリーズの作者である小説家・有川ひろだった。自身の著作『空飛ぶ広報室』が野木脚本で実写ドラマ化された際、TBS公式サイトのインタビューにて、「原作をものすごく正しく読み解いて、その上できちんと取捨選択をやってくださっています」と語りつつ、原作にあってもおかしくないようなオリジナルエピソードが追加されたことを絶賛していた。 また野木自身、同ドラマをめぐる公式座談会にて、原作『空飛ぶ広報室』だけでなく有川の過去の作品なども読み込んで制作にあたったことを明かしていた。やはり原作を深く理解するためには、地道に原作を読み込んで登場人物の心情などの解像度を高めることが重要なのではないだろうか。 ちなみに同ドラマでは有川も脚本をチェックしていたそうだが、「忙しいときには『野木さんの原稿なら読まなくても大丈夫!』というOKを出してしまいます」とまで冗談交じりに語っており、野木への信頼の高さがうかがえる。 さらに最大のヒット作である『逃げるは恥だが役に立つ』に関しても、原作者の海野つなみからその仕事を絶賛されており、プライベートでの交友が生まれるほど良好な関係を築いていた。 ほかにも東村アキコ原作の『主に泣いてます』や西尾維新原作の『掟上今日子の備忘録』など、野木は原作ファン納得の実写化を多数成功させている。2024年1月から公開が始まった和山やま原作の『カラオケ行こ!』も、口コミで大きな盛り上がりを見せているところだ。 次はどんな原作付きドラマを手掛けてくれるのか、今後の動向にもっとも注目したい脚本家の1人ではないだろうか。
キットゥン希美