カラーパープル

　「あの映画」のリメークなら、覚悟を決めなければ…。そう思った私の予想を裏切り、冒頭からノリノリの歌とダンスに面食らった。 　本作は、スピルバーグ監督が1985年に手がけた映画を、ミュージカルとしてリメークした作品だ。 　「カラーパープル」は1909年、米国のジョージア州で始まる物語。主人公のセリーは父親から虐待され、無理に結婚させられた夫から屈辱的な扱いを受ける。さらに唯一の救いであった妹と引き離され、絶望の淵に立たされる。非常にセンシティブな題材を扱っており、重いテーマである。 　だがミュージカルにすることで、たまりにたまったセリーの魂の叫びを本能的に感じられ、特にラストで「私は生きている」と力強く歌い上げるシーンは、思わず立ち上がって拍手したくなるほどグッと来た。名作の復活劇として、100点満点だ。（スターシアターズ・玉城愛鈴） ◇シネマQ、ライカムで上映中