ハリル監督の体脂肪率厳格方針は正しいのか
サッカーの日本代表、ハリルホジッチ監督が、代表候補選手の体脂肪率に注視している問題が波紋を投げかけている。 この12、13日に千葉県内で国内組だけで行われた代表合宿でも、再度、体脂肪率が正確に計測された。練習中には、冗談交じりに体脂肪14.1%で、警告扱い選手として名指ししていた宇佐美貴史(22)のお腹の贅肉をつねった。そもそも体脂肪率問題が表面化したのは、4月14日にJFAハウスで行われたJ1、J2合同実行委員会に出席したハリルホジッチ監督が、代表全選手の体脂肪リストを公表して、「赤印がついた選手はフィジカルの準備ができていない」と警鐘を鳴らしたこと。 リストでは、体脂肪率が12%以上の選手は赤色、11%台は黄色のマーカーで塗りつぶされていて、14%以上の赤色が8人、黄色が5人いた。“最肥満”は、興梠慎三(28)の16.4%で、2位は太田宏介(27)の15.2%。肉体美を誇るGKの川島永嗣(32)も13.4%とハリル基準値を上回っていた。一部では12%以上の選手は、今後、代表に呼ばないとする説まで報道されたが、本当に12%を基準に体脂肪率を厳格にチェックすることが、チーム強化、フィジカル強化につながるのか? ボクシングのWBA世界Sフェザー級スーパー王者の内山高志や、脂肪率や減量に神経を使うアスリートを指導しているフィジカルトレーニングの専門家、土居進氏は、こう言う。 「12%という数字が正しいのかどうかわかりませんが、おそらくハリルホジッチ監督は、経験値の中で、そういう基準値データを持っているのでしょう。例えば、2パーセントオーバーを指摘されている宇佐美選手のように体重70キロの選手の場合、体脂肪の2パーセントと言えば、約1.4キロです。1.4キロ分の余計なおもりを体に背負ってプレーとしていると考えてみてください。トップレベルの瞬発力、キレのある動きができるでしょうか? スタミナの消耗にもつながりますし、関節への負担なども増え、疲れやすくもなります。故障につながる可能性も高まります。そう考えると、体脂肪に目をみはるという方針自体は、間違っていないと考えます。ただ、ハリルホジッチ監督が本当に意図しているのは、単なる体脂肪を落とせということではないでしょう」