《ブラジル》居眠り中のバス乗客の頭部貫通=貧民街取締り中の銃撃戦で
うたた寝中のバス乗客頭部に流れ弾が貫通―リオ市北部のファヴェーラ(貧民街)「コンプレクソ・デ・イスラエル」で24日朝、軍警による犯罪取り締まり作戦が実施され、近くを通る主要幹線道路のブラジル大通りが激しい銃撃戦の舞台となり、通勤途中の一般市民3人が巻き込まれ死亡、3人が負傷した。現場一帯はパニックに陥り、交通は麻痺し、地面に伏せて分離壁で身を守る人々で溢れた。同大通りは2時間にわたって封鎖され、地域内の五つの鉄道駅が運行を中断した。 犠牲者の1人、レナト・オリヴェイラさん(48歳)はバスで勤務先に向かう途中、眠っている際に頭部に流れ弾が当たり死亡した。前の座席に座っていた友人が、当時の状況を「絶望的だった」と語ったと同日付G1などが報じている。 銃撃戦は朝7時過ぎ、車両や貨物の強奪に関与する犯罪者を逮捕するため、同ファヴェーラ内にある五つのコミュニティで展開された作戦中に発生。同地域は麻薬密売組織の支配下にある。 警察部隊が貧民街に到着した際、侵入を阻止するため、犯人らが車両やバリケードに放火するなど強い抵抗に直面したため、警察は作戦を中止して現場を撤退した。その後、犯人が警察に向けて発砲し始めたため、銃撃戦に発展した。 SNSで拡散された動画には道路の真ん中に停車している車やバイク、市内バスや高速バス(BRT)、地面に伏せる大勢の姿や銃声が収められていた。 銃撃戦に巻き込まれて亡くなったレナトさんの友人、アドニアスさんは「私たちは仕事に向かっていてレナトはうたた寝していた。シダーデ・アルタを通過中に、賊が警察の装甲車に向かって銃撃を始めた。弾がバスに当たり、窓ガラスを突き破ってレナトの頭を撃ち抜いた。後ろを振り返ると彼の頭から血が出ていた」と証言した。 レナトさんは重体で病院に緊急搬送され、手術を受けたが助からなかった。冷凍施設で勤務する彼には妻と4人の子供がおり、この日はいつも通り元気に家を出て、バスに乗る前には同僚と一緒に食べるための朝食を購入していた。 アドニアスさんは「私たちの人生は一瞬だ。彼には子供がいるのに、今後は誰が養うのか? 私が撃たれてもおかしくなかった。悲しみと怒りがこみ上げる。賊は無差別に撃ち、いとも簡単に一人の父親の命を奪った。彼は寝ていて撃たれたことにすら気づかなかった」と涙ながらに訴えた。