ウクライナがロシアに「負けない条件」
日本経済新聞コメンテーターの秋田浩之が12月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ウクライナ情勢の今後について解説した。
ウクライナがロシアに負けない条件
飯田)秋田浩之さんは11月25日から、ウクライナのキーウなどでゼレンスキー大統領など約40人の方々を取材されました。今後、ロシアの侵略に対してウクライナが「抗戦を続けるのか、停戦を探るのか」というところですが、全体の取材を通してどういう感触でしたか? 秋田)まず物量を考えると、ウクライナはロシアに勝てないと思います。人口でもロシアは3倍ぐらいありますし、来年(2024年)は国防予算と安全保障関連費のトータルで、ロシアは歳出の約4割を出すわけです。
戦いの決め手は「戦術のイノベーション」 ~ドローンや無人走行車などと偵察衛星やサイバーを組み合わせる
秋田)ですので、ウクライナは「どうやって量の劣勢を戦い方で補うか」が勝負だと思います。ダビデとゴリアテの戦いがありますよね。 飯田)大男と戦う。 秋田)ゴリアテという巨人にダビデが立ち向かうような戦いなのです。その決め手は、「戦術のイノベーション」と言うと少しわかりづらいですが、「ロシアが考えつかないような型破りな戦術」が大事です。ウクライナは人が足りないわけですから、空中ドローンや水上・水中ドローン、もしくは無人走行車などの技術に、偵察衛星やサイバーを組み合わせる。そんな戦い方でロシアをかく乱、もしくは押し返していく方法を考えているのだと思います。
もう1回、ウクライナはイノベーションした戦い方でロシアを上回る方法を考えている
秋田)これまで侵略地域をこの程度で抑えられているのは、大前提に西側の支援があるわけですが、それだけではなく、ウクライナはロシアよりもはるかに先にドローン対ロシア兵という構図をつくり、ドローン攻撃でロシアを押し返してきました。ところが、それに気付いたロシアは同様にドローンを量産し、いまは同じくらいドローンを使って戦っています。現在、ウクライナの先行利益がほぼ失われており、それが戦場で膠着状態になっている原因の1つだとわかりました。 飯田)ロシアがドローンを使ってきたことが。 秋田)西側の支援がなくなってしまうと、量でもっと負けてしまうので絶対に必要なのですが、現状の支援が続いたとしても、もう1回ウクライナはイノベーションした戦い方でロシアを上回ることを考えていると思います。それが何なのかは、いちばんの肝なので誰も話さないのですが、やはり鍵になるのはドローンに加え、ドローンを無力化する電子戦の能力。あとは衛星を組み合わせ、ピンポイントでロシア側の司令部などを叩いていくのだと思います。