え？腕だけの幽霊？それはそれで恐怖の絵面だ…!!

「はじめホラーかと思って身構えたけど見てよかった～」「レベル高い幽霊」「意識が高すぎる」と読者から歓声があがった漫画がある。そのタイトルは「おツカレOLと腕の漫画」。“腕の漫画”とはどういうことなのか？「この腕にハグされたい…男だけど…」「この腕、うちにも来ないかな…(切実)」「腕に惚れる日が来るなんて…」「くっ…！かっこいい…」と読んだ者を次々にトリコにする“腕の幽霊”とは一体…!? 【漫画】本編を読む 主人公は、毎日仕事に追われて疲れ気味のOL・梅本梅(26歳)。その日も仕事のことで悩み、うまく寝付けずに真夜中に目が覚めてしまった。…とそのときだった！ヒタ、ヒタ…と“腕”だけの幽霊がベッドに忍び寄ってきていた!!腕だけ…といえども、それはそれで恐怖の絵面だ。梅は恐ろしさのあまり目を閉じると、いつのまにか腕は背後に回り込んでいて…!!梅が「首、絞められる…殺される…!!」と思った次の瞬間、女性のみならず男性までキュンとさせるまさかの行動を“腕”はとるのだった…!!そこから「ちょっと羨ましいと思ってしまった私は頭がおかしいのだろうか」という感想も飛び出す展開となっていく。 この漫画を描いたのは漫画家の小菊路よう(@TheeKick)さん。「月刊少年ライバル」(講談社)での仕事を機に編集担当がつき、以降も講談社で連載漫画を次々に担当している。「少年マガジンエッジ」(講談社)では「激辛お嬢さまは自分を罰したい」を連載して単行本を3巻刊行。マンガアプリ「パルシィ」(講談社)では「佐伯さんは眠ってる」の作画を担当し、こちらも全5巻を刊行している。現在は同じく「パルシィ」にて「水曜姉弟」を連載中の多忙な漫画家だ。小菊路ようさんに本作「おツカレOLと腕の漫画」について詳しく話を聞いてみた。 ――“腕”だけの幽霊という斬新な設定はどこから思いつきましたか？ 怪談話では「足が消えてる」「顔だけ浮いてる」など、体の一部だけの幽霊が登場するので「腕だけのお化けというのも普通にいるよね」と思っていました。なので斬新と言われてびっくりしています。腕だけのお化けにしたのは、顔がないことで読んだ方たちが各々の理想の「イケメン像」を想像して楽しめたらいいなという気持ちからです。また、手元や腕の仕草だけでイケメンな雰囲気や表情が出せたらちょっとおもしろいかもとも思いました。 ――ホラーかと思いきやゴリゴリのギャグ漫画で、その落差に魅了された読者が多かったですね。コメント欄が沸いていましたが、著者としてどう思いましたか？ ホラーと思わせてギャグ！というのは多くの方が最初から予想できる展開だろうな…と思いながら描いていたので、読者の方たちからの想像以上の反響にはちょっと驚いていました。けれどその感想を見てからは、ホラーっぽいシーンとギャグシーンのギャップを意図的に強く描くようになったと思います。そのおかげで、“何を考えているかわからないミステリアスな腕”というカイさん(腕の幽霊の名前)のキャラが色濃くなったように思います。 ――読者の感想も参考にされていたんですね！ほかにも気になった感想はありましたか？ はい。読者さんからいただいた感想の中で興味深かったのは、カイさんの正体に関するものです。神様的な何かじゃないかとか、父親の霊じゃないか…とか。マッチョな女性じゃないかというのもあって、逆にこちらが「おぉ！なるほど…!?」と気づきをもらうことが多々あり、おもしろいです！ ――カイさんは腕だけなのに表情豊かですね。著者の視点からどういうところに力を入れて描きましたか？ 「腕だけなのに表情豊か」…まさに、読んだ方にそう思ってもらえるのが理想だったのでうれしいです。カイさんは程よい筋肉がついた腕のお化けです。なのでいわゆる「イケメン仕草」や力強いハンドサインは描きやすいのですが、かわいさや優しげといったものはなかなか表現しにくかったんです。でもかわいさがないとただの不気味な腕なので、かわいく見えるように意識して描いてる気がします。 ――今後の新作のご予定などありましたら教えてください。 講談社の漫画アプリ「パルシィ」で更新が止まっていた「水曜姉弟」が2023年12月から再開しました！続話を楽しみにしてくださった皆様には長い間お待たせしてしまって大変申し訳ありません。ナツとトーコ、二人の姉弟のお話をまた読んでもらえたらうれしいです。 読者からは「カイさんに惚れてしまいます」「顔は見えないのにドヤ顔してるように見えるw」「霊(？)なのに生き生きしていらっしゃるw」「カイさんかわいいw」といった腕の幽霊・カイさんに対するコメントが多数寄せられた。特にカイさんのかわいさが垣間見られる「町の評判の歯医者に行った話」はファンが多い回なのでぜひ読んでみてほしい。 取材協力：小菊路よう(@TheeKick)