マライア・キャリーが歌に込めた壮絶人生! 強制売春の危機、監禁夫……【SPURセレブ通信】
「みんなディーバネタに夢中だから、私がソングライターだと思い出させないとね」。そう宣言したように、マライア・キャリーはスーパーディーバな天才作曲家だ。ディーバとは「わがままな歌姫」を指す蔑称由来の尊称に近いスラング。この言葉の理想を象徴しているのが、徹底的にゴージャスなマライアだ。生物学的には50代ながら「永遠の12歳」自称をつきとおしたり、ステージに子猫20匹と鳩100匹を所望した噂を流されたり、浮世離れしたスーパースターとしての逸話にも事欠かない(本人いわく「猫好きじゃないから子猫20匹はデマ」とのこと)。 【写真】壮絶人生を歩んできたマライア 「クリスマスの女王」として毎冬をつかさどっていることもあって「ゴージャスな謎の人」のイメージが強くなっているが、自称どおり、元来はシンガーソングライター、つまり自ら作詞作曲をする歌手だ。ビルボードチャートにおけるナンバーワンヒットは女性最高の19曲で、そのうち18曲を自作している。 実際、マライアを知るにあたってはずせないのが作家としての側面だ。彼女の作詞スタイルは「現実に起きた特定の出来事の具体的表現」。よって、ディスコグラフィーがそのまま人生の軌跡になっている。
人種差別に強制売春、12歳で「停まった」壮絶人生
1969年ニューヨークに生まれたマライア・キャリーの子ども時代は、今のゴージャスなイメージとは正反対だった。米国で異人種間結婚が合法と認められた2年後に結婚した黒人男性と白人女性のもと「肌が白い黒人」として生まれたマルチレイシャルであったため、白人が多い地域で激しい人種差別に晒されていたのだ。家に呼んだ白人の友だちが黒人の父を見て泣き叫んだこともあるという。 家庭環境も酷かった。マライアいわく、のちに暗殺請負で逮捕されることとなった兄は、親を殺す勢いで暴力をふるっていた。姉は12歳の妹・マライアに三度も火傷をおわせ、バリウムを飲ませたり、男に身体を「献上」させようとしたと語られている(兄と姉はともに否定している)。じつは、マライアの「永遠の12歳」ネタはこの経験からきている。心の底で信じていた姉に売春を強制させられそうになった心傷により「人生が停まってしまった」 のが、12歳だったのだ。 マライアが作曲をはじめたのも、このころだった。マルチレイシャルとしての幼少期の疎外感を歌った「Outside」が示すように、みずからの感情や願望を書き留めて歌にすることこそ、絶望的な環境を生きのびる手段だったのだ。