ゴルフ場の害獣被害対策アメリカ版。アリゾナのコースで行われた"駆除せず生かす"「スパイシーな香り」作戦とは?
日本では熊被害の報告が後を絶たないが、アメリカでも害獣問題は深刻なようだ。先ごろ米アリゾナのセブンキャニオンGCでイノシシに似た"ジャベリナ"という野生動物によって地面が掘り返された映像がSNSで紹介され、3000万回超えの再生を記録した。
日本のゴルフ場でも使える? アリゾナのゴルフ場が行った"オイル作戦"
SNSの動画を見た人々の反応は意外にも真っ二つ。 コースと従業員に同情し、「泣きそう」という投稿がある一方で、この夏の異常な暑さと乾燥を生き延びようと必死なジャベリナを擁護する声も大きかった。 そのため支配人のデーブ・ビスビー氏は難しい問題を突きつけられることに。 アリゾナ州法でジャベリナは極端な状況を除いて、狩猟したり罠に掛けたり、移動させることはできない。 周辺には450頭前後のジャベリナが生息しているのに駆除できないジレンマに陥ったのだ。 しかし放っておけばコースは荒れるばかり。そこでビスビー氏は既成概念にとらわれない解決策を関係者と協議することに。 どうやらジャベリナはスパイシーな香りが苦手なようで、クラブハウスのレストランで調合したスパイシーなオイルを芝に噴霧する作戦を決行することに。 ビスビー支配人は、 「芝生にとってデリケートな問題なので苦心しましたが、この作戦は、以前の試み(狼の尿を顆粒にして撒く)より、はるかに良い結果が得られました」 と地元ニュースのインタビューで語っている。 最終的にはジャベリナを駆除するのではなく、コースをスパイシーオイルで守りつつ、穏やかな放牧地で生息させるのが目標。 つまり害獣を防ぐではなく、別の環境への移動を促すということだ。手間と労力はかかるが、これならゴルフ場とジャベリナのウィン-ウィンの関係が築けるかもしれない。 日本のゴルフ場でもイノシシ被害は報告されており、侵入防止の電気柵を設置するなどの対策が取られているが、オイル作戦は聞いたことがない。 もしや特効薬になりうる? ※週刊ゴルフダイジェスト2023年11 月21日号「バック9」より
週刊ゴルフダイジェスト