「命に関わる事故が目立つ」スキー・スノボで増える外国人や初心者のけが 志賀高原近くの病院が受け入れた負傷者は過去5年で最多
志賀高原や野沢温泉といったスキーリゾートを抱える長野県中野飯山地域の救急医療を中心的に担う県厚生連北信総合病院(中野市)で、2023年度に受け入れたスキー・スノーボード事故の負傷者が、過去5年で最多の463人だったことが17日、分かった。コロナ禍後に外国人や初心者が増えたことが一因とみられ、関係者は事故防止に向けた情報発信の必要性を訴えている。 【写真】バックカントリーエリアに向かうスノーボーダー
同病院が23年度にスキー・スノボの事故で受け入れた負傷者は前年度比5・7%増の計463人。このうち外国人は同88・9%増の51人に上った。受け入れ人数は新型コロナ下の20年度に計223人、21年度に334人だったが、その後の増加が目立つ。外国人も水際対策で出入国が規制されていた20年度は1人、21年度0人と激減していたが、インバウンド(訪日客)の回復に伴って急増している。
同病院の荒井裕国・統括院長は「骨折や捻挫、打撲などが大半を占めるが、頭部を強打した命に関わる事故も目立ってきている」と指摘。今後の訪日客の増加がさらに見込まれていることから、負傷者に迅速な対応ができる態勢を整えていきたい―とする。
全国スキー安全対策協議会(東京)によると、23年度は全国的にもスキー・スノボの事故が増加傾向という。外国人はスキー場の管理区域外で立木に衝突するなどの事故が目立ち、国内外問わず初心者の負傷者はヘルメットなどの装備を持参していないといった例が多いという。
高柳誠事務局長は「スキー客を受け入れる側は、魅力だけでなく、安全に楽しむために必要なルールや装備も発信しなければならない時代になっている」と強調している。