軽度認知障害の改善 「頭の中のモヤモヤが晴れる」トレーニングとは…認知症予防に向けて心がけたい生活習慣
心身同時に活性化
認知症予防の取り組みの効果を探る研究も進む。 愛知県大府市の国立長寿医療研究センターでは、高齢者約80人が「コグニサイズ」と呼ばれるトレーニングに励む。歩行や足踏みなど軽めの有酸素運動をしながら、しりとりや計算に挑戦し、記憶力や判断力の低下を防ごうという試みだ。 5月21日には、12人が腕を振って、高さ約10センチの踏み台を乗り降りしていた。インストラクターが「皆でしりとりをしましょう」と呼びかけると、順番に「リンゴ」「ゴリラ」――とつないだ。参加する男性(73)は「体が元気になり、頭もすっきりする」と話した。 「コグニサイズ」は、同センターが考案。21年2月から1年半、トレーニングや食事の指導を受けた地域住民約140人のうち、希望者が続けている。同センターは、やめた人も含めて心身の状態を追跡調査しており、担当者は「継続者の多くは健康を維持する一方、やめた人はもの忘れが多くなる傾向にある」と言う。
食事・運動・会話が大切…MCIの心得 ハンドブックに
国立長寿医療研究センターは、認知症予防のため、生活で心がけるポイントをまとめた「MCIハンドブック」を作成し、ホームページで公開している。 例えば、〈1〉毎日2食以上、炭水化物やたんぱく質、ビタミン類をバランス良く食べる〈2〉週3日以上、ウォーキングやサイクリング、スクワットなど無理のない運動をする〈3〉週1回以上、ビデオ通話や電話を含めて、同居する人以外と会話する機会を作る――よう呼びかけている。 実践できたかを毎日記録できる「生活ノート」も作り、紹介している。 同センターの桜井孝・研究所長(64)は「軽度認知障害は、放っておくと、坂をゆっくりと転がるように認知機能が衰えていく。早めに気づいて、生活習慣を見直すことが大切だ。認知症になるリスクを減らし、長生き社会を乗り切ってほしい」と話す。