東日本台風5年 茨城県内避難所 環境向上 水洗トイレや防犯ブザー
茨城県に甚大な被害をもたらした東日本台風(台風19号)の上陸から12日で5年を迎えた。茨城県は多発する災害に備え、避難所の衛生環境改善と性被害防止に乗り出す。水洗仮設トイレや防犯ブザーなどを確保し、防災訓練を通じて使用法などを周知。生活環境と安心安全が保たれた「快適な避難所」を目指す。 県防災・危機管理課によると、水洗トイレは洋式で洗面台や室内ライトを備える。避難所の衛生面と防犯、安全面の向上を見込み、国土交通省も「快適トイレ」として確保を推奨している。 スチール製の折り畳み式ベッドも備品に加える。被災者が床に雑魚寝をしないことで、感染症防止につなげる。使用期限が5年程度の段ボール製ベッドと比べ、長期間の使用や保管ができるのも利点だ。 防犯ブザーはトイレや入浴設備に配備し、特に女性の性被害の防止と抑止を図る。授乳服も市町村の要求に応じて必要数をそろえ、手配できる態勢を整える。 今後、スチール製ベッドは500台を目標に確保する。ほかはホームセンターなど複数の事業者と災害協定を結んで確保する方針だ。同課の担当者は「できるだけ多くの備品確保に努める。市町村にも避難所開設時に実践できるよう促していくので、住民も災害時の意識を高めてほしい」と話す。 県は常総、かすみがうら、五霞、八千代4市町で6~7月に実施した避難力強化訓練で、避難者と運営者の双方に向けた啓発ポスターを掲示した。今後も市町村にも避難所開設時に実施する訓練を通じて住民に周知し、理解と協力を呼びかける考え。 1月に発生した能登半島地震では断水が広範囲で発生し、避難先のトイレ詰まりなどによる環境悪化が問題となった。特に避難生活で女性の性被害に対する懸念が高まり、県が7月以降に行ったヒアリングでも、県内市町村から対策強化を求める声が相次いだ。 台風19号での被災を教訓に、同県大子町の高梨哲彦町長は「今後さらに防災備蓄を整え、避難のクオリティーを高めていくことが大事。プライバシーを守り、健康を維持するという課題をクリアしていきたい」と話した。
茨城新聞社