星野源が絶賛、宇内梨沙アナが驚愕…目隠しで「ときメモ」ヒロインを攻略するため2年間のカレンダーを丸暗記、90秒のエンディングを詠唱する頭脳派RTA走者
「敬老の日は『敵』」
――1時間弱の間、目隠しで操作するわけですから、覚えることはたくさんありそうですね そうですね。ときメモの時代設定が1995年4月から1998年3月なのですが、その期間のカレンダーを覚えるのにも苦労しました。 ――カレンダー? ときメモは日曜日の夜にその週の平日の予定を決め、休日は休日で、平日同様コマンドを実行するゲームシステムでして、目隠しでやるにはいつ休日がやってくるのかを、把握しなくてはならないんです。連休の存在をうっかり忘れていると、途端に操作が狂ってしまいます。もはや、敬老の日がRTA最大の敵といっても過言ではない。 ――Kazupoonさんはお若いですよね。1995年なんて生まれてないのでは? そうですね。RTAのためだけに覚えました。 ――試しに、問題を出しても良いですか? 1996年の敬老の日って何曜日ですか? 日曜日です。その次の日が振替休日になりますよね。 ――ゲーム外の努力が途方もないですね……ここまで極めていると、目隠しに加えて耳栓してもクリアできちゃいそうですね(笑) 意外とできますよ? ――すでにやっていた……! 完全な無音はさすがに無理ですが、テレビを消して、「ゲーム画面が見えない&ゲーム音も聞こえない」状態に挑戦したことがあります。 ゲーム機の読み込み音を手がかりにするんですよ。イベントが発生するとディスクを読み込む音が大きくなって、通常モードに戻ると静かになる。その仕様を生かして、プレイステーションに耳をあてながらプレイしていました。
星野源アワード2023にノミネート。RiJ後にはラジオ出演も
――国内最大級のRTAの祭典「RTA in Japan Summer 2023」では、同接10万人を達成し、Xのトレンドでも1位になるなど、大注目だったそうですね。 たくさんの人に観ていただけて、もう感無量でした。もともと、RTAを始めたのも「自分のパフォーマンスで楽しんでもらいたい」という気持ちからだったので、僕のRTAでイベントを盛り上げることができてよかったです。 その後もいろいろ反響がありまして。星野源さんのラジオで取り上げられたり(過去にはRTA走者、えぬわた氏が取り上げられたことも)したこともありました。 《すごい古い……それもね、90年代のゲームをですね、目隠しでやるというRTA。何月何日にこのコマンドをやるとかっていうのを全部目隠しでやるんですよ。だから、日にちが普通わからないじゃないですか。音で読まれるわけじゃないので。なのに全部日にちがバッチリ合っていて。それをしかも全部解説しながらやっていくんですよ。後ろにお客さんもいるんですけど。それがもう、圧倒的に面白くて、いろいろな人にオススメしちゃいましたね。「これは本当に素晴らしいんで!」っていう。 素晴らしく面白いコンテンツだし、「本当にこのゲームが好きなんだな」というのがもう伝わってくるという。しかもこの走者の方は自分が生まれる前のゲームをやっているというような、そういうのも含めてちょっとエモいというか。すごいいい動画でしたね》「星野源のオールナイトニッポン(ニッポン放送)」(2024年3月5日放送回より) RTAには関係ないのですが、詩織ルートのエンディングを丸々暗唱できるのが特技で。RTA in Japanでも披露したのをぜひやってほしいと、ラジオ番組『アフター6ジャンクション2』に生出演した際に、ライムスターの宇多丸さんにリクエストいただいたんです。僕としても、詩織の告白を公共の電波で詠唱できる貴重な機会でしたね。 《宇多丸:藤崎詩織さんの台詞をちょっと早く、全部言うんですよね。 宇内アナ:ボイスよりちょっと早く言う 宇多丸:昔のフォークの弾き語りの、歌詞歌わさせるやつみたくなっていて。 ~現場で詠唱中(1分半)~ 宇内アナ:すごい。こんなエンディングを迎えるんだ、最難関の詩織って。 宇多丸:すごいね。見事。よくわからない感動が押し寄せる場面でしたね。》 (「アフター6ジャンクション2(TBSラジオ)」2023年9月14日放送回より) ――宇多丸さんも宇内アナウンサーもびっくりされてましたね。そこまでKazupoonさんを突き動かすのは、やはりキャラへの愛なのですか? もちろん、ときメモは好きですし、詩織もかわいいですが、ゲーム愛やキャラ愛というより、どちらかといえば面白さのためにRTAをやっている節があります 先ほども話しましたが、そもそもの動機が「イベントに出たい」「誰かに見て、楽しんでもらいたい」という思いからだったので、RTA in Japanに出たときもエンタメ性を追求していました。目隠ししているのも、その方が絵面として面白いかなって。 実際にRTAを披露しているときも、頭の半分くらいはプレイの間に挟む解説や小話について考えていましたね。だからといって、作品への情熱がないわけではありません。詩織を落とすスピードなら誰にも負けませんよ。 取材・文/笠木渉太
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