「CONVERSE(コンバース)」の 不朽の名作「ONE STAR(ワンスター)」の歴史と進化
50周年モデル第1弾は96年に登場したキャンバスモデルがベース
1975年に生産が中止されてから「ワンスター」が復活したのは1985年のこと。2年間しか販売されなかった幻のモデルとして取りざたされていた「ワンスター」だったが「コンバース」ファンの要望に応える形で日本製として復刻された。
1993年にスエードモデルが復刻。そして1996年に今回の50周年モデル第1弾で発売されたキャンバスモデルの『ワンスター』が登場したとのこと。藤原さんはその50周年モデルについてもこう語る。
「大きな特徴は1970年代の『ワンスター』には使用されていなかったキャンバス素材というところですね。1974年の誕生時にはレザー素材として販売されているので、そこがポイントにはなりますね。このキャンバスは国産素材を使用して、当時のような目の粗さなど風合いが近いものを採用しています また90年代モデルのディテールとしてトウガードには小さな星が刻印され、サイドのひとつ星は現行の『ワンスター』よりもやや小ぶりになっています。ヒールラベルも“ONE STAR”表記になっているなど、細かい意匠が特徴的なものになっています」
またカートン(シューズボックス)も90年代当時のモデルで使われていたデザインを忠実に再現している力の入れようだ。
「最近は90年代や2000年代の着こなしや古着などにも注目が集まっています。キャンバス素材を使用したモデルが誕生したのは1996年。ちょうど90年代リバイバルということでレザーのイメージが定着している『ワンスター』を新たな視点で見てほしいということから、キャンバス素材を使った企画を提案したのです」
今後も「ワンスター」50周年記念の企画は続いていく
こだわりが詰まっている今回のモデルはかなり大変なものとなったようだ。開発するうえでの苦労したことを伺うと、藤原さんはこう答えてくれた。 「小さな星の意匠が入るトウガードのテープの部分は、型を何度も作るなど試行錯誤しながらやっと完成した部分です。また一番大変だったのはアーカイブを忠実に再現するところでした。 『コンバース』にはファンも多いので、当時を知っている方も多く存在します。そのマニアな視点を持つ方々を納得させるべく、当時の資料やカタログなどを何度も見返して、細かいディテールまで丁寧に再現するのは、苦労しましたね」と藤原さんは笑う。 そんな「ワンスター」の50周年記念モデルだが、どうやらこれで終わりではないようだ。藤原さんは続ける。 「この『ONE STAR J VTG CANVAS』を皮切りに、50周年を盛り上げる企画をいろいろと発信しています。まずは日本が世界に誇るヴィンテージシューズの名店、下北沢『SOMA』の店主、徳永氏にデザイン監修してもらったツートンカラーの『ワンスター J VTG スエード』が登場しています。当時ありそうでなかった斬新なブラックとグレーのバイカラーは、他にはない新鮮なデザインとなっています。