年金制度、財務省曰く「これが最適」だが…紐解くと恐ろしい「日本の借金」
借金「35.4兆円」の凄まじさ…令和6年度予算案
厚生労働省のサイトから、財務省のサイトに飛んでみよう。「これからの日本のために財政を考える」というコーナーでは、日本の財政の状況がわかりやすく説明されている。 令和6年度予算案の一般会計歳出112.5兆円のうち、「年金」が含まれる「社会保障」にあてられているのは37.7兆円である。「社会保障」には「年金」のほか「医療」「介護」「子ども」「子育て」等が含まれる。 この112.5兆円のうち35.4兆円は公債金に依存している。すなわち借金だ。そして、同サイトには以下のように書かれている。 “現在、(1)税収等では歳出全体の約2/3しか賄えておらず、残りの約1/3は、(2)公債金(借金)に依存しています。 この借金の返済には将来世代の税収等が充てられることになるため、将来世代へ負担を先送りしています。” 「将来世代へ負担を先送り」と、はっきりと記載されている。超少子高齢化において、「年金制度は破綻しないのか」という問題の先に、「日本の財政は破綻しないのか」があるわけだ。何が原因なのか。同サイトは「社会保障」の負担増を取り上げる。 “社会保障は、年金、医療、介護、子ども・子育てなどの分野に分けられ、国の一般会計歳出の約1/3を占める最大の支出項目となっています。 社会保障制度の基本は保険料による支え合いですが、保険料のみでは負担が現役世代に集中してしまうため、税金や借金も充てています。このうちの多くは借金に頼っており、私たちの子や孫の世代に負担を先送りしている状況です。” “今後、高齢化はさらに進展し、いわゆる「団塊の世代」が2022年には後期高齢者である75歳以上となりはじめます。 75歳以上になると、1人当たりの医療や介護の費用は急増することから持続可能な社会保障制度を作るために残された時間はわずかです。” 「年金制度は破綻しない」「現状ベストな制度である」ということを強調していた厚生労働省のサイトと比較すると、ずいぶんとトーンが違う。
財務省が国民に伝えたかったことは何か…?
とはいえ、財務省のサイトではこのあと、解決策として「消費税の引き上げ」が提示されている。 「何が目的で書かれているのか?」という視点で紐解けば、厚生労働省は「年金は大丈夫ですと国民に知ってもらいたい」、財務省は「消費税を引き上げなければならない理由を国民に納得してもらいたい」というところだろうか。 いずれにせよ、今後また大きな金額が必要となってくることは間違いない。というのも日本の予算は増加傾向にあり、超少子高齢化が進むなか、高齢者への社会保障給付、子育て世帯への支援金給付は今後も増していくとみられるからだ。 「最後は国がなんとかしてくれる」と安心することは決してできないだろう。
THE GOLD ONLINE編集部