進路を迷う慶大・清原正吾に「ラブレター・フロム・カガワ」 ドラフト直後に速達で届いた思い
<東京6大学野球:慶大2-1早大>◇10日◇最終週最終日◇神宮 大学野球の有終の美を飾った慶大・清原正吾内野手(4年=慶応)に“ラブレター”が届いていたことが10日、分かった。 送り主はこの日も神宮のネット裏で視察した、国内独立リーグの四国IL・香川の上田誠球団代表(67)だ。秋になってから入団へのオファーを出していたものの、清原が指名漏れした24日のNPBドラフト会議の直後にもすぐ動いた。 「堀井監督宛てに手紙を書きました。2枚。次の日にすぐに郵送しました。速達で。監督から本人に渡してもらえるように」 慶応(神奈川)で甲子園出場経験も豊富な上田氏は、清原が大学1~2年生の時は慶大でBチームのコーチを務めていた縁もある。中学、高校と6年間のブランクがあった清原の、野球の基礎を作り直した“師”でもある。 「4年生になったら試合に出られたらいいね、くらいだったんですけど。まさか中軸になって。プロ(NPB)に行かせてあげたかったんだけど、これで野球を辞めちゃうのは…。せっかく4年間という短い期間でここまでになってきたんだから、もう1つ伸びるんじゃないかと思って」 上田氏は今年から香川の球団代表を務める。入団のメリットは多いと話す。 「四国(アイランドリーグ)って割とNPBにも出ているし、独立リーグですけど移動時間も短いんですよ。体作りが大事になるし、移動時間が短い分、ウエートもしっかりできる。150キロくらいの投手もゴロゴロいる。今度監督になる熊野(輝光)さんはオリックスで清原君のお父さんのことも知っているし」 清原自身は早慶戦が終わったこの日時点では「腹に落として決めきることはまだできていないので」と希望進路を口にしなかった。野球をやめる選択肢もあることを、近い関係者には伝えている。上田氏は「もったいない」と言う。 「リーグのレベルも高いですよ。だから、1年で(NPBが)ダメだったら就職しろと。シーズンやりながら東京で就職活動があるなら行って、その試合は出なくていいからと。そういうのも全部やってあげたい。中学と高校で野球をやらなかった分を、大学卒業してから1年2年やってもいいんじゃないのって」 思いは続く。 「話を聞きたいなら、もちろん飛んでいきます。ダメならその先を応援するだけですけど、1つの選択肢で(香川も)いいんじゃないのと」 ここまで早慶戦に全集中してきた清原も、いよいよ未来を考える。“カガワからの手紙”は、分岐点で迷う青年の心に突き刺さるか-。【金子真仁】