シラスで“脱炭素”へ シラス由来の物質使用したコンクリートを初の実用化 CO2排出量半分に
鹿児島読売テレビ
かつては「厄介者」とされていた火山の噴出物・シラスが脱炭素社会の立役者となるかもしれません。セメントの代わりにシラス由来の物質を用いることで二酸化炭素の排出量を半減したコンクリートが初めて実用化されました。 (山下香織キャスター) 「道路の拡張工事が行われている鹿児島市の現場です。注目すべきはこの歩道の縁石。コンクリートの原料にセメントの代わりに火山がもたらすシラスが使われているんです」 コンクリ―トに使われるセメントは石灰石を高温で焼いて作るため大量の二酸化炭素が発生します。県工業技術センターはそのセメントの代わりとなる「火山ガラス微粉末」を開発。火山の噴出物・シラスから取り出したもので、製造過程で出る二酸化炭素はセメントの10分の1以下です。 今年3月にコンクリートの材料として日本産業規格JISに認められ、今回初めて実用化。セメントの55%を火山ガラス微粉末に置き換え二酸化炭素の排出量を半分に抑えたコンクリートが、歩道の縁石に使われました。 コンクリートの強度や耐久性の向上も見込めるうえ、火山ガラス微粉末を取り出した残りのシラスもコンクリートの材料に活用し海の砂の利用も抑えられたと言います。30年以上研究に取り組んできた担当者は。 (県工業技術センター 袖山研一研究主幹) 「あまり価値が無いと思われていた無尽蔵の火山噴出物がコンクリートの材料に大量に使われる、しかも海洋環境を改善してCO2を削減できるのは世界で初めての試み。環境に優しいインフラ材料に近付いたなと開発者の私も非常にうれしく思っている」 県は民間企業などと共に大量生産を実現してコストダウンをはかり、シラスの産業資源化を加速させたいとしています。