都知事選”第三の男”石丸伸二氏に集う人たちはどんな人?「顔がタイプです」「軽いスタンスで参加」
投開票日が7日に迫る最終盤の東京都知事選挙。現職・小池百合子知事と蓮舫氏による一騎打ちの様相だが、気になっていた”第三の男”の注目度が日増しに上がってきている。SNSを駆使して挑む、前・安芸高田市長の石丸伸二氏。猛暑のなか、都政にも、選挙にも関心のなかった人たちが演説に集まる。石丸氏は選挙戦にどのような影響をもたらすのか。紫色に統一された支援の人たちには、実は特段の結束力がない。そこがこの候補の大きな特徴だという。 【写真】ものすごい人だかり!演説を聞き、その様子を撮影する聴衆ら * * * ■にぎわう吉祥寺演説 7月2日午後6時40分。JR吉祥寺駅前。500人はいるだろうか。若い人ばかりかと思っていたが、意外にスーツ姿のサラリーマン、ミドルエイジの姿も目立つ。女性が多い。 演説開始まであと20分。陣営のボランティアによって規制線が張られる。規制線の中は、蒸し暑さと相まって異様な熱気につつまれる。ボランティアに限らず、ほとんどの人がトレードマークの紫色のシャツやタオルを身に着けている。 石丸氏が到着した。湧き上がるような拍手と歓声。アイドルが来たような盛り上がりようだ。通りがかりの人も立ち止まり、スマホで写真をとりだす。人の波は、演説会場の駅前にとどまらず、少し離れたバスロータリーにも及ぶ。演説は15分ほどで終わった。 「石丸さんが来ているというので、見てみたかった」 演説に聞き入っていた専門学校生、岩崎伸吾さん(21)。政治に興味はないという。 「たまたまYouTubeで石丸さんを見かけたのがきっかけです。安芸高田市の議会で、はっきりものを言う姿が、見ていて爽快だったんです。吉祥寺に来ているらしい、と友達から聞いたので、なんだか見てみたくなりました」
■ちょっと新しい選挙「アイドルみたい」 同じ大学の友達と演説を聞いた河瀬雄大さん(22)は、たまたま通りかかって石丸氏を見つけ、足を止めたという。 「石丸さんのことは、Tiktokで回ってきた“おすすめ動画”で見て知りました。何回も見るうちに親しみやすいと思うようになりました」 若者たちが話す“動画”とは、市長時代に議会の様子を収めたYouTube動画。市議に対し、「恥を知れ!恥を!」と言い放つ場面などが話題となった。この動画を皮切りに、安芸高田市のユーチューブチャンネルは登録者数約27万人となり、ネット上には同市を問わず、石丸ファンが広がっているとされる。 石丸氏は、こうしたSNSで広く支持を集め、新しい選挙手法を試みているようだ。ネットを通じて献金を募り、6月30日までの1か月で約2億円を集めたと公表した。件数としては11555件にのぼる。 「推し活」を公言する女性もいた。飲食店で働く女性(24)が話す。 「単純に顔がタイプです。あとは親近感。政治家というよりアイドル感が強いです。こういう人が政治やっていた方が、若い世代には刺さるんじゃないかなあ」 演説を聞いた人からは、石丸氏の公約や主張に関しての意見は聞けなかった。陣営関係者もこう話す。 「アイドル的な支持や、それを生かした戦略は石丸カラーの一つです。ファンサービスも他の候補にはない強みだと思っています」 石丸氏の周囲に群がる陣営ボランティア。この日も50人ほどがいるようだ。この人たちはネット募集で集められ、現地集合、現地解散。お互いをまったく知らない緩いつながりなのだという。 陣営関係者によると、選挙運動にかかわる人は原則として無報酬だ。側近幹部を除き、基本的には、陣営が出しているボランティアの登録フォーマットに事前に登録し、参加可能日を出すと、申し込みの案内が送られてくる。行きたいところに行ってビラ配りなどを手伝う。この身軽さも特徴だ。