「これだけ気持ち良い走りが出来るのなら、アウディはもっとハイブリッドを活かした方がいい」by 島下泰久 これが、アウディA8 60TFSI eクワトロに乗った自動車評論家のホンネ!!
とんでもなくよくできている!
今年もやりました「エンジン・ガイシャ大試乗会」。2024年、大磯大駐車場に集めた注目の輸入車36台にモータージャーナリスト36人が試乗! アウディ初の四輪駆動のPHEVモデル、A8 60TFSI eクワトロに乗った山田弘樹さん、島下泰久さん、斎藤慎輔さんのホンネやいかに? 【写真17枚】ライバルのベンツ、BMWとは一線を画すデザインはいかにもアウディらしい A8 60 TFSI eクワトロを詳細画像で見る ◆「絹の走り」山田弘樹 フラグシップモデルの威厳を備えたその大きなボディを、どんなシチュエーションだろうと極めてまろやかに支え続けるエアサスと、オートモードのダンピング制御にまず感服。 システム出力449ps/700Nmを発揮する3.0リッターV6ターボとモーターの組み合わせはロケットのような加速こそないけれど、そのレスポンスで走りに軽やかさを与えてくれる。 そして止めはクワトロAWDと後輪操舵が、制御の恩恵すら感じさせないほど自然にヨーとスタビリティをバランスさせる。ただしその走りはあまりに絹ごし過ぎて、チョイ乗りしただけだと刺激が少なすぎるとも言える。仕事でもプライベートでもいいから、一日に700kmくらいの距離を一気にぶっ飛ばしてこそ、このクルマの凄みが身に染みるのだろうと考える。だが残念ながら、日本にそうした道がない。なんてもったいないんだろう! そういう意味ではゆっくり走らせてもインフォテインメントにエンタメ要素が強いBMWやメルセデスの方が、我々日本人にはわかりやすいかもしれない。だが、その淡麗さこそがアウディの魅力でもある。 ◆「異例の軽やかさ」島下泰久 その走りの印象は、とても軽やかということに尽きる。いかに軽いのかと試乗後にスペックを見たら、実際には車重は2350kgと、V8エンジン・モデルよりもむしろ200kg近く重くなっていて驚いてしまった。 おそらく、その軽やかさはボディ自体の慣性質量の小ささ、軽めのステアリングに合わせたアダプティブ・エアサスペンションやクワトロなどシャシーの躾け、電気モーターの高レスポンス等々の相乗効果なのだろう。様々なテクノロジーを駆使できる上級モデルほどむしろすべてがしっくり来る、あるいはアウディ純度を増していくようにすら感じられる、このブランドの面白いところは今も健在だった。 これだけ気持ち良い走りが出来るのなら、アウディはもっとハイブリッドを活かした方がいい。それこそ再来年にはF1にも出るのだし。 ともあれ、このセグメントでは異例の軽やかさとクールな内外装の仕立てというアウディの“らしさ”は変わっていない。いや、更に進化していると感じられた。改めて、良いじゃないアウディ! ◆「これいいわ~」斎藤慎輔 世界的にセダン需要が萎んできている中ではあるが、ドイツ勢はしっかり最新セダンを送り出してきている。それもICE仕様をしっかりと用意して。 アウディも今後のBEV路線を強調していても、今は現実を見据えている感じ。今回のA8は、PHEVモデルで、正直なところ、インフラ環境からしても、一番現実に見合ったバランスの取れた仕様に思えます。仕立ての良さなどもさすがと思いつつ乗り込んでみれば、インテリアはコンサバ志向、というよりは、どこから見てもアウディだなという感じ。冷静を装って全体像を見ながら、EPC会員の方を横に乗せて走らせてみれば、とんでもなくよくできていることに、ただただ「これいいわ~」を連発することになるのだった。 西湘バイパスでのバネ上の落ち着き払った動き、安定感、箱根ターンパイクでのトレーサビリティの高さと綺麗な姿勢の維持、そして、PHEVの駆動用バッテリーは乗り始めからエンプティの状態だったながらも、パワフルでいて極めてスムーズでマナーのいいドライバビリティなど。「参りました」でした。 写真=小林俊樹(メイン)/茂呂幸正(サブ) (ENGINE2024年4月号)
ENGINE編集部
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