『正直不動産2』山下智久の正直すぎる言葉が心を動かす “風”がなくても誠実な営業マンに
ついに永瀬(山下智久)が“風”から解放された?
美波もまた、永瀬の影響を大いに受けている。愛原(松本若菜)が口にしていた「お客様や地域のことを第一に考えながらしっかり向き合って仕事するようになった」美波の変化は嘘がつけなくなってからの永瀬の変化によく似ている。自身に詰め寄る桐山(市原隼人)に動じず立ち向かった月下や、登坂(草刈正雄)と話す桐山の言葉にも永瀬の影響が垣間見える。 永瀬の正直な姿勢は、過去にとらわれる神木の心をも溶かしたと感じる。永瀬は神木に「たとえ1位になれなくても、自分のやったことで一人でも幸せだと感じてくれたらそれでいい。何かそう思えるようになりました」と胸の内を語り、「神木さんも……変われると思います」と言った。その言葉は“風”の力を借りたものではない。神木の過去を知った永瀬が、かつての上司を真に気遣い、出てきた言葉だ。神木は亡くなった妻の香織(藤井美菜)と息子の翔太(石塚陸翔)の姿を見ることができなくなった。嘆き悲しむ神木だが、その場に現れた花澤(倉科カナ)の息子・北斗(尾込泰徠)の言葉に心を救われる。神木は妻と子供を一心に愛してきた。だからこそ、子どもたちの未来のために、心を入れ替えることができるのではないか。そんな未来を予感させる幕引きとなった。 物語の終わり、永瀬は月下にたたりのことを打ち明けた。月下からは「しょうもな」と呆れられるが、あの“風”は永瀬に吹きつけると輝いて消えた。本当のことを打ち明けたことで永瀬は祠のたたりから解放されたのかもしれない。けれど、今後も永瀬は「正直不動産」として街の人々に愛され続けるだろう。そんなふうに思えた。
片山香帆