大の里、圧巻の出足で豊昇龍を土俵下に 「思い切りやるだけだった」
○大の里（押し出し）●豊昇龍（秋場所14日目） 「破壊的」とでも形容したくなるような圧巻の出足だった。大の里は、待ったの後の2度目の立ち合い。「思い切ってやるだけだった」。もろ手で豊昇龍を突き起こすと、もう一突き。豪快に腕が伸び、2秒余りで大関を土俵下まで押し出した。 過去の対戦成績が1不戦勝3敗と分の悪かった豊昇龍を破っての優勝決定だ。「うれしいですね。大きいと思う。後半戦で体に疲れがたまっているけど、立ち合いと土俵際を意識した」。初土俵からわずか9場所目にもかかわらず、重圧などみじんも感じさせなかった。 2場所ぶり2度目の栄冠で、確実にしている大関昇進に花を添えた形だが、「破壊的」なのは取り口だけではない。平成以降、誕生した大関は延べ33人。直近3場所で2度も優勝して昇進した例はない。「（9勝に終わった）先場所の反省を生かせた」と淡々と語る大の里は、この常識も壊すことになるだろう。 大の里は石川県で育ち、新潟県で中高6年間を過ごした。大学は東京都。部屋があるのは茨城県で、しこ名の由来となった元大関大ノ里の故郷は青森県だ。 本人も「場所前に（青森県）藤崎町に行ったし、新潟や石川の思いも背負っている。良い結果が届けられたかな」と多くの地縁を意識している。今後、一層の注目を集めることになる新星に、母校である新潟・海洋高相撲部の田海哲也総監督は「全国のファンから愛されるお相撲さんになってもらいたい」と願っている。（宝田将志）
