センバツ2023 気持ち一新、練習に汗 彦根総合、出場決定から一夜明け /滋賀
◇屋内でノック、筋トレ センバツ出場の喜びから一夜明けた28日、彦根総合(彦根市)の野球部員は早速練習に励んだ。待望の春切符を手にした選手たちは全国制覇を目標に気持ちを引き締め、汗を流した。【飯塚りりん】 県内は今月24日から断続的に大雪に見舞われており、28日午前、同校周辺は10センチ程度の積雪に覆われた。グラウンドは使えず、チームは終日、校内にあるアリーナで練習した。 この日はノックによる守備練習に長い時間を割いた。宮崎裕也監督(61)がボールを捕る際の目線や足腰の入れ方を指導。選手は自分の守備位置を意識しながら真剣にボールを追った。宮崎監督が「練習と試合は正反対だ。練習で顔が引きつるくらいの緊張感をもってやれば、試合の時には笑顔でできる」と声を掛けると、選手たちは一層声を出してボールを追いかけた。 投手陣はアリーナの壁際で重さ約5キロのボールを使って腕や腰を鍛えるトレーニングを続けた。 甲子園出場という夢をかなえ、チームははつらつとした動きを見せた。南智加良選手(1年)は「選ばれてうれしかった。今はけがをしていて練習に参加できないので、春に向けてボール渡しや道具の準備でみんなをサポートしたい」と話した。新井遼太朗選手(同)は「足を生かして次につなげる打撃が自分の持ち味。まずは出塁できるように練習に励みたい」と充実した表情を見せた。 マネジャーの三橋聖愛(せな)さん(同)は「高校に入るまで野球とは無縁だったが、選手たちの様子を見て日に日に甲子園のすごさを感じる。格好いい姿を見せてくれるのが楽しみ」と話した。 ◇強豪校に恥じぬよう 学園長、監督、主将ら意気込み センバツ出場が決定した27日、松本伸次学園長(71)らが同校で記者会見した。 松本学園長は「野球部は2008年の創部以来、なかなか勝つことができなかったが、宮崎裕也監督が就任して劇的に変わった。選手は学校から自転車で25分かけて新しいグラウンドに通い、日が暮れるまで練習を重ね、成果につながった」と感慨深げに語った。また、彦根には近江高、彦根東高という強豪校があることに触れ「私たちも恥じぬように頑張っていきたい」と意気込んだ。 同校には野球部員やサッカー部員らが生活する寮があり、栄養バランスがとれるよう食事メニューに工夫を重ねている。夜間には教員が教科の指導をしている。宮崎監督は「学校一丸となって部活動をサポートしてくれる体制がある。多くの人に手をかけていただいてここまでやってこれた」と感謝の気持ちを述べた。 上田大地主将(2年)は「昨年夏の県大会は初戦で負けてしまい、先輩たちに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。新チームになった時、自分たちの代は絶対に甲子園に行こうとの思いでやってきた。夏の負けから学んだこと、悔しさがあったからこそ近畿大会でベスト8まで行けた。宮崎監督から人間的に成長してほしいと常に言われており、少しは成長できたかなと思う」と話した。 ◇夢舞台、向かう子らにエール 選手保護者、喜びの声 センバツ出場決定の瞬間を見届けた選手の保護者にも喜びの声が広がった。 峯優太選手(1年)の父信宏さん(52)と母麻子さん(42)は「とてもうれしいし、ホッとした。まずはメンバー入りを目指して頑張ってほしい」と笑顔を見せた。「息子はあまりしゃべらないタイプだが、野球でこんなことあったよ、という話はしてくれる。親としてはベンチ入りできなかった時の心構えを伝えている。いかにチームを支えるか。朝の地域清掃は必ず参加しなさいと言っている。ユニホームも自分で洗うようになったし、精神的に大きくなっている」と息子の成長を喜んだ。 藤田一輝選手(2年)の母加奈子さん(42)も「一輝は寮生活になったこともあり、成長している。仲間に恵まれ、刺激し合えている」とうれしそうに語り「甲子園は小学校からの夢の舞台。副主将として主将を支え、恥ずかしくないプレーをみせてほしい」とエールを送った。【礒野健一】