「60歳代~70歳代の住宅ローンは平均でいくら残っているものですか?」繰り上げ返済で大切なこと
繰り上げ返済をしない方が良いケースとは?
住宅ローンの繰り上げ返済(一部繰り上げ返済)は、十分な預貯金を確保した上で行うことが大切です。 繰り上げ返済を行うと手元の資金が一時的に減ってしまうので、子供の進学や転職、親の介護などを控えている時期にはあまりおすすめできません。 今後大きな支出を控えている場合には、必要な資金はできるだけ手元に残しておいた方が良いでしょう。 さらに住宅ローンには住宅ローン控除があるので、住宅ローン控除期間中は繰り上げ返済をしない方が得する場合もあります。 住宅ローン控除を受けるためには「ローンの返済期間が10年以上あること」が要件なので、期間短縮型の繰り上げ返済を行ってトータルの返済期間が10年未満となる場合には、住宅ローン控除の対象外となってしまうので注意が必要です。 したがって繰り上げ返済を行う場合には、最も適したタイミングを見極めることが重要だといえるでしょう。
60歳代、70歳代の繰り上げ返済の注意点
60歳以上の方は退職金を使って繰り上げ返済を行うことがありますが、その時の資産状況によっては老後資金として手元に残しておいた方が良い場合もあります。 総務省の2023年10月分の家計調査報告によると、2人以上の世帯の1世帯あたりの消費支出は30万1974円となっています。 一方、会社員の夫と専業主婦の妻という世帯であれば、老後に受け取れる年金はそれほど多くありません。 退職金を全て住宅ローンの一括返済に充ててしまうと、他に十分な貯蓄がない限り生活が苦しくなってしまう恐れがあります。 また金融機関によっては繰り上げ返済時に手数料がかかることもあるので、この点についても事前によく確認しておく必要があります。
【住宅ローン】繰り上げ返済のまとめ
繰り上げ返済はできるだけ早い時期に実施した方がより大きなメリットがあるといえますが、若いうちは何かと急な出費が多いので、50歳以降になってしまうことが多いようです。 繰り上げ返済を行う時には、ライフプランや将来必要になりそうな費用のことをしっかりと考えた上で、資金に余裕がある時にタイミングよく行うことが大切です。
参考資料
・国土交通省「令和4年度 住宅市場動向調査報告書」 ・住宅金融支援機構の「2020年度住宅ローン貸出動向調査」
亀田 融