インテリジェンスのプロ直伝「人脈作りに必要な2つのこと」 池上彰×佐藤優 映像メディア初対談!
◆戦争では「勝敗」と「善悪」は違う
ジャーナリストの池上彰氏と元外交官で作家の佐藤優氏の映像メディア初対談が「テレ東BIZ」で実現した。 佐藤氏が対談でまず指摘したのは戦争における「勝ち負け」と「善悪」は別だという点だ。ウクライナ戦争で考えても、「侵攻したロシアは悪であるから負けてほしい」「攻められたウクライナは善なので勝ってほしい」と考える人がほとんど。佐藤氏曰く、悪いもの(ロシア)が勝つというシナリオを考えられる人間は、ひねくれているか、ロシアへの思い入れが強い人か、情報分析の訓練を受けている人だという。 佐藤氏の岸田政権の外交政策への評価は高い。特にウクライナ戦争における判断に間違いはないという。具体例として示したのが「価値の体系」「利益の体系」「力の体系」の3つの区分だ。 日本は「価値の体系」ではG7と歩調を合わせてロシアを非難。一方、「利益の体系」では日本はロシアから天然ガスを輸入している。「力の体系」ではG7で殺傷能力のある装備品をウクライナに提供していないのは日本だけだ。メディアでは「価値の体系」に注目しがちだが、佐藤氏は「利益の体系」と「力の体系」も加えた観点で見ると、岸田政権は日本の利益を最大限に考えた外交をやっていると分析する。
◆佐藤氏直伝!人脈づくりに必要な2つのこと
インテリジェンスのプロとして幅広い人脈を持つ佐藤氏は、人脈づくりに重要なことは2つあるという。ひとつは「約束を守る」。できないことは軽々に約束しない。そしてもうひとつは「サードパーティールール」。すなわち、Aさんから聞いた話をAさんの了解を得ずに第三者に教えないということで、これは外交官時代もいまも共通で大事にしていることだという。
◆ロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏の死は暗殺ではない
佐藤氏はロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏の死をどう見ているのか? 池上氏が「プーチン政権による暗殺なのか?」と問うと、佐藤氏は「池上さんはどう思いますか?」と逆質問する。これはインテリジェンスの技法のひとつで、答えに窮した際には逆質問して相手が答えている隙に考える時間を稼ぐのだという。 その後、佐藤氏はナワリヌイ氏の死はプーチン政権による暗殺ではないとの見解を示した。一般犯罪で逮捕されたナワリヌイ氏を極寒の刑務所に入れたことについては極めて非人道的で、プーチン氏がナワリヌイ氏の死を願っていた可能性はあるという。ただし、ロシアが手を下すことに合理性が感じられないというのが暗殺を疑う理由だ。「ナワリヌイ氏は暗殺された」と西側がキャンペーンを張ると、むしろプーチン大統領の権力基盤が強くなるという。つまり、ロシア国民は西側が騒げば騒ぐほど「西側はロシア国内を割ろうとしているのだ」と、逆に一枚岩になるというのだ。