SNSの良い使い方“人探し”が生む感動の再会…一方でリスクにも注意「探される側がDVを受けて逃げていることも」
■Facebookをきっかけに22年ぶりに母と再会した娘
ヤマムラさんは逆にSNSで探された側の人だ。ヤマムラさんには、フィリピン人の母親がいたが、5歳のころに両親が離婚。母とは生き別れた。当時、母はどこに行ったのかと父に聞いたところ「すごく怒られて、そこから私はこの話をしちゃいけないんだという認識を持った」そうだ。 いつかは会いたいと思いつつ、手がかりもないまま過ごした22年後、ヤマムラさんが27歳の時に、Facebookに知らない人からメッセージが来た。「外国人の名前、外国語で来たので、一瞬何かなと思ったが、写真を見た時にピンと来て、お母さんをなんとなく思い出した」。その後、当時の住所や家族の名前、電話番号などを確認していくうちに、母であると確信できるようになった。母は再婚しており、別の家庭を持っていたが、「ずっと(前の家族が)忘れられなかったみたいで、勇気を出してFacebookで検索して連絡したと言っていた」という。 ヤマムラさんの家族は父のほかに妹もいるが、父はヤマムラさんが母と再会したことを知らない。「母は悪人という感じで関わるなという状態だし、妹も全然母の記憶がないと思う。母は『会いたい』と言っていたが、たぶん無理だと思うという話をした。妹には1回、少し母の話をしたことがあるが、全然興味がなく、会いたいとも思わない感じだった」そうだ。
■探したい人、探されたくない人 それぞれの事情も…
「感動の再会」と言えば聞こえはいいが、探している人がいい人ばかりなわけではなく、また探されたくない人がいるのも事実だ。さくら幸子探偵事務所の姉崎一美氏は、SNS上に情報を掲載することのリスクを指摘した。例えばユイさんの場合には「今回は、子どもを助けてくれた命の恩人という意味では、稀なケース。ちゃんとお会いできて、思いも遂げられたが、そういかないこともある。事実として簡単に言えば探さないでほしい人がいる。探されたことによって住所がわかってしまったり、自分がその場所にいたことを秘密にしていたりする人もいる。みんな本当にいい人で、清く正しく暮らしている方たちならいいが、そうじゃない方も結構いる」と語った。 悪意を持って人を探す典型例がストーカーだ。姉崎氏のところにも依頼は来るが、この時には見極めが最重要ポイントになる。「担当する相談員カウンセラーがいるが、見極めが必要なので、関係性については裏付けを取っていく。当社としては、依頼する方の身元も確認しないといけないし、探される方の立場も考えないといけない。両方守るために、契約前の聞き取りに、非常に神経を使う」ものだという。 また面談を経て契約、人探しを実行した後もトラブル要因はある。探し当てた相手が、依頼者と会いたくないというケースであれば、たとえ依頼者の希望であっても、会わせるわけにはいかない。予め、断られる場合に関しても承諾を取って、誓約書も作るという。さらに、暴力などの加害者から対象者が逃げ出した場合、加害者本人が「急にいなくなったので、すごく心配だとか、事件に巻き込まれているんじゃないかと相談に来る場合もある」という。
■相談を受ける探偵「探さないでくださいと思っている人にとってはすごく迷惑」
姉崎氏のところには、実に多様な依頼が舞い込んでくる。離れ離れになった親子のケースでも「たとえば子供を探して面倒を見てもらいたい、介護してほしいという親もいれば、自分の借金を返してほしいという“毒親”みたいな人もいる。逆に子どもが親を探して欲しいと言っているが、親は子どもがDVを受けて逃げていることもある」と説明した。探される側に不都合がある場合「探さないでくださいと思っている人にとってはすごく迷惑」な行為になる。SNSでの人探しは、その後も長く痕跡が残ってしまうケースもあり、さらに慎重な利用が重要だとも伝えていた。 (『ABEMA Prime』より)