ジェーン・ストリートの秘密戦略露呈か、法廷闘争に市場参加者釘付け
(ブルームバーグ): 自己勘定トレーディング大手、米ジェーン・ストリート・グループが10億ドル(約1550億円)を稼ぐのに用いたといわれるオプション戦略。これを巡る法廷闘争が、世界有数のスピードで成長しているインドのデリバティブ市場で注目されている。
ジェーン・ストリートは部外秘でかつ「計り知れない価値のある」取引戦略を盗まれたとして今月、元従業員2人とミレニアム・マネジメントを相手取り訴訟を起こした。ウォール街がこの訴訟の行方に釘付けになっていたところ、先週19日、この戦略がインドのオプション取引に焦点を絞ったものであることが、ミレニアムの弁護士による陳述で明らかになった。
問題となっている戦略の詳細は不明確なままだが、このケースは、過去10年間で相場が急騰しオプション契約取引数で世界最大となったインド市場で、手の内を明かさない高速取引会社の錬金術を垣間見る貴重な機会となった。インドではジェーン・ストリートの競合オプティバーやシタデル・セキュリティーズ、IMCトレーディング、ジャンプ・トレーディングなどの高速取引会社のほか、一連のヘッジファンドなどが事業を拡大している。
ムンバイを本拠に10億ドル以上を運用する投資会社、グリーンランド・インベストメント・マネジメントを創業したアナント・ジャティア最高投資責任者(CIO)は、「オプションのマーケットメーク(値付け)は『勝者総取り』のゲームだ」と語る。「インドのマーケットメークは非常に競争が激しくなっており、マイクロ秒単位ではなくナノ秒単位の戦いになっている」と述べた。
ムンバイの市場関係者がジェーン・ストリートの戦略をめぐって持論を展開する中、同社の巨額利益は不慣れな個人投資家の犠牲の上に成り立っているのではないかという懸念が浮上した。
インドのオプション取引に占める個人投資家の割合は約35%で、規制当局はアクティブ投資を手がける個人トレーダーの90%がデリバティブで損失を出していると推定している。