「100坪980円」だけじゃない 北海道が移住者の呼び込みへ新機軸
「宅地100坪980円」で移住を促進――。先月、北海道から驚きのニュースが伝えられました。深川市が市有地を「100坪980円」で販売開始したという内容ですが、「980万円」の間違いでは? と思ったのは筆者だけではないはずです。もちろん、契約後1年半以内に住宅を建て住民登録することが条件になっているので、深川市への移住を促進するためにインパクトを狙った政策といえます。 【写真】「田舎暮らし」 発想の転換が「八ヶ岳山麓で趣味三昧」実現 地方移住は「地方創生」を掲げる政府も推進している政策ですが、北海道全体の移住政策はどのようになっているのでしょうか。
「団塊世代」狙いから「現役世代」も対象に
北海道の人口は、572万9000人(1999年)をピークに減少に転じ、今年6月現在では541万2000人となっています。道庁所在地である札幌市以外の市町村は軒並み減少しているので、移住促進・定着はどの市町村でも課題となっているのが現状です。 北海道が積極的に移住政策をスタートしたのは2006年。「ちょっと暮らし」という、移住や二地域居住を希望する人に体験移住を通して、北海道における生活の魅力を伝え始めました。
「深川市は今回思い切った政策を打ち出したので大きな注目を浴びていますが、実はもともと移住政策には積極的な市で、コテージでの宿泊や農作業体験などを行っています。そのほかに釧路市は、2009年に『くしろ長期滞在ビジネス研究会』を設置、地元企業を中心に移住希望者に長期滞在してもらえるようにサービスを提供しています」と語るのは、北海道総合政策部人口減少問題対策局・時田英明さん。時田さんが所属する部署では、10月7日に「北海道ふるさと移住定住推進センター」を立ち上げ、これまでの移住政策に加えて新たな要素を加えました。 「ちょっと暮らし」は団塊の世代の大量退職に備えたものだったので、対象は60代以上が中心でした。しかし、今後の人口減少対策として、「20代~50代の現役世代も対象に加えていくのが、今回新たにセンターに課せられた役割です」(時田さん)。 同センターでは、現在地方の仕事の掘り起こしと、それら仕事情報と住まいの情報が集約されたホームページを制作中で、2016年1月に公開予定です。