化学兵器使用のロシア軍中将爆殺、容疑の男を拘束…ウクライナから報酬1500万円など約束される
タス通信によると、ロシア連邦保安局(FSB)は18日、露軍の放射線・化学・生物防護部隊の司令官イーゴリ・キリロフ中将がモスクワで起きた爆発で17日に死亡した事件の容疑者として、ウズベキスタン国籍の男(29)をモスクワ近郊で拘束したと発表した。
FSBの発表では、男が「ウクライナの情報機関に勧誘された」と供述したと主張している。男は10万ドル(約1530万円)の報酬や、欧州連合(EU)域内への渡航と生活を約束されたという。ロイター通信などによると、ウクライナの情報機関「保安局」(SBU)関係者は、殺害への関与を認めている。
キリロフ氏はウクライナ侵略で露軍の化学兵器使用に関わっているとして、米国や英国などが制裁を科していた。露軍は、化学兵器禁止条約で禁じられた窒息剤クロロピクリンなど複数の化学兵器を使用しているとされる。
SBUの調査では、ウクライナ侵略開始以降、露軍の化学兵器使用が少なくとも4800件確認された。2000人以上のウクライナ兵が入院し、3人が死亡したという。露軍は塹壕(ざんごう)に立てこもるウクライナ軍に対し、無人機で上空から化学兵器を散布して攻撃する手法を多用している。
キリロフ氏は、ウクライナ軍が化学兵器を使用しているとのロシアのプロパガンダ(政治宣伝)を広める役割も担っていた。侵略当初には「ウクライナと米国が協力して違法な化学兵器を製造していたことを示す文書を入手した」と一方的に主張した。
キリロフ氏は、ウクライナが放射性物質をまき散らす「汚い爆弾」を使う準備を進めていると広言していた。しかし、国際原子力機関(IAEA)は検証の結果、ロシアの主張には根拠がないと結論付けた。