『ミス・ターゲット』すみれと宗春の恋に終止符!? 家入レオ「ワルツ」の歌詞が心に染みる
詐欺の容疑で逮捕されてしまったすみれ(松本まりか)
また、すみれは心から好きだと思える人(=宗春)に出会ったことで、これまで好きだと言ってくれていた人たち(=ターゲット)の気持ちを理解することができたのだと思う。すみれは、闇金業者しか騙さないというポリシーを持っているけれど、彼らにだって気持ちはある。すみれが宗春を心から想っているように。彼らもまたすみれのことが好きで、すみれを幸せにしてあげたくて、お金を渡していたのだ。 「今まで、世界でいちばん美しいものは大福だと思っていましたけど、たった今それを超えました」 宗春が、ウェディングドレス姿のすみれと対面したときに言った言葉。ここでもすみれは「全然、うれしくない!」と返していたけれど、うれしい気持ちがダダ漏れだったのが印象的だった。すみれも心のなかで、「わたしも、世界でいちばん好きなものはお金だと思っていたけれど、たった今それを超えました」と思っていたはずだ。 しかし、2人の恋は始まらない。模擬挙式の最中に、宗春の父・竜太郎(沢村一樹)がやって来て、すみれは詐欺の容疑で逮捕されてしまった。連行される前に、1分だけ宗春と話す時間をもらったすみれは、「模擬挙式のあと、あなたからお金を騙し取ろうと思っていたんです」「あなたが見ていたわたしは、全部偽物です」と言い残し、パトカーに乗り込む。詐欺師として生きてきたすみれは、残念ながら演技がうまかった。 「今まででいちばん簡単に落とせたターゲットでした」 本当は、そんなことが言いたいわけじゃないのに。今まででいちばん簡単に落とせたターゲットなわけがないのに。落としたくても落とせなくて、彼を傷つけてしまうのが怖くて、自分が自分じゃなくなって、どうすればいいのか分からない。すみれにとって宗春は、“呆れるほど好きだった人”のはずなのに。 宗春の姿が見えなくなった瞬間、大粒の涙を流したすみれ。その姿に、「ワルツ」の<もしも 素直に泣ける私だったら なんてね>という歌詞が重なって、胸がギュッと締め付けられる。 出会わなければ、こんなに苦しい想いをせずにすんだ。でも、すみれが心の奥に持っていたピュアな部分を引き出してくれたのは、紛れもなく宗春だ。恋は終わったとしても、愛は続いていく。また、宗春の前で少女のように笑うすみれの姿が見られることを願っている。
菜本かな