二階堂ふみの“ムダ遣い”じゃなかった『Eye Love You』ネトフリ上位でハリウッドへ弾み
二階堂ふみが主演する火曜ドラマ『Eye Love You』(TBS系)。韓国のライジングスター俳優チェ・ジョンヒョプとの共演に回を追うごとに注目が集まっている。 【写真あり】えっ!? そんなモノまで…二階堂ふみがプライベートで魅せた「爆買いスタイル」 このドラマは、相手の目を見れば心の声が聞こえる“テレパス”を持つ主人公・侑里(二階堂)が超ストレートな年下韓国人男性・テオ(チェ)と恋に落ちるファンタジック・ラブストーリー。Netflixによって世界配信され、日本の『今日のシリーズTOP10』ではTBS地上波連ドラ史上初となる初登場1位。 「週間TOP10」でも1位を獲得。さらに韓国の「週間TOP10」でも最高4位を記録するなど今期でも屈指のヒットコンテンツといっていい。 そんな中、主演の重責を担う二階堂の演技には今更ながら、目を見張るばかりだ。 「第8話では、一番大切なものを失わないためにテレパスを手放すのか。それとも愛する父・誠(立川志らく)とコミュニケーションするためにテレパスを持ち続けるのか。まさに“究極の選択”に迫られる侑里。 “33秒間愛する人と見つめ合う”ことで、一番大切なものを失わないで済むことを知った父・誠に背中を押され、ふたりは万感の思いで見つめ合う。最後の別れを惜しむシーンには、心打たれました」(制作会社ディレクター) 二階堂は’21年にも火曜ドラマ『プロミス・シンデレラ』(TBS系)に主演。原作の魅力について 「とにかくストーリー展開が面白いですし、それぞれのキャラクターの心理描写がとても丁寧に描かれていて、感情移入しながら読んでいます」 とコメントしていた。 しかしフタを開けてみると、台本作りの段階でマンガの面白いところをさらに面白く見せようとデフォルメ。そのおかけで、イケメンの見せ場とキュン場面が誇張され、恋愛ドラマに必要な情緒が省かれ、しかもイケメンの引き立て役にすぎないことから、“二階堂ふみのムダ遣い”という声も上がっていた。 しかしそういった杞憂は、この『Eye Love You』には見られない。 「今作を手掛けた中島啓介プロデューサーは、主役に二階堂が決まり『この試みを、一緒に面白いと思ってくれたことが一番大きかった』とコメント。さらにストーリー自体、ともすれば非現実的なファンタジーにしか見えなくなってしまう。 そんな心配すら吹き飛ばす、リアルな演技を披露。『もしかしたら、僕たちのすぐそばに存在するかもしれない』と思えるような主人公を演じてくれたと賛辞を惜しみません」(制作会社プロデューサー) 二階堂はこれまでも俳優として、数々の伝説を残してきた。’11年に映画『ヒミズ』でヴェネツィア国際映画祭マルチェロ・マストロヤンニ賞を16歳の時に受賞。’18年の大河ドラマ『西郷どん』では艶っぽく愛加那役を演じて、主演する鈴木亮平から“感性の化け物”と称されている。 極め付きは、’20年の朝ドラ『エール』(共にNHK)の最終回。ヒロイン・音役を演じた二階堂はシナリオを読み、監督の吉田照幸に直談判。脚本も手掛ける吉田監督に全部書き直しをさせたという伝説の持ち主でもある。 まさに一球入魂ならぬ一作入魂。しかも主演にこだわらず、面白い役柄なら、どんな小さな役でも引き受ける稀有な存在でもある。 そんな女優魂の塊ともいえる二階堂ふみが、珍しく弱音を吐いた作品がある。それが、去年公開され、数々の映画賞に輝いた『月』ではないか。 「同作は、実際に相模原で起きた障害者施設殺傷事件をモチーフにした作品。二階堂演じる陽子は、犯人と共に施設で働く作家志望の職員。『報知映画賞』で助演女優賞を受賞した際、仲野太賀がサプライズ登場。 彼女を“勇敢な人”と呼ぶ仲野が、今回の作品に出演するにあたって『彼女は珍しくちょっと弱音を吐いていた。誰かを傷つけないために、いっぱい悩んで考えて、役作り自体も孤独で寂しい道のりだったと思う』『本編を見た時、彼女は“覚悟と決心”をしてこの役を全うしていることに驚かされ、とても感動しました』『これからも勇敢な二階堂ふみさんでいてください』とエールを送れば、二階堂自身も『映画は社会を変えられるんじゃないか』と強い思いを口にしています」(前出・プロデューサー) 昨年は日曜劇場『VIVANT』(TBS系)でも注目を集めた二階堂ふみ。現在配信中のドラマ『SHOGUN 将軍』でハリウッドデビュー。無慈悲で計算高い“淀君”を思わせる役どころに挑戦している。 30歳を迎え、海外進出に向けての準備は整ったようだ――。 取材・文:島右近(放送作家・映像プロデューサー) バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版
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