スーパーフォーミュラに乗りたい。野望を胸に、小山美姫は歩みを続ける「常に活躍して名前が挙がるように」
「私は個人的にフォーミュラが好きなので、スーパーフォーミュラに上がることを目標にしています」 【写真】いよいよシーズン開幕! ニューマシン、ドライバーが続々登場|スーパーGT岡山公式テスト:フォトギャラリー Jujuが日本人女性ドライバーとして初めてスーパーフォーミュラに参戦し、大きな話題を集める昨今。小山美姫はスーパーGTのパドックでそう言い切った。 近年の日本人女性ドライバーの中でも、トップランナーとして国内外で実績を積み上げてきた小山。女性ドライバーで争われるKYOJO CUPではシリーズ発足から2年連続でチャンピオンを獲得、日本のFIA F4にも参戦し、海外挑戦となった女性限定フォーミュラのWシリーズでも2019年にランキング7位を獲得した。2022年にはフォーミュラ・リージョナル・ジャパニーズ・チャンピオンシップでチャンピオンに輝いたのも記憶に新しい。 長らくフォーミュラカーのカテゴリーを中心に戦ってきた小山だが、2023年からはスーパーGTに参戦している。同年はANEST IWATA Racing with Arnageの第3ドライバーとなったが、実際にレースに出走できたのは1度のみ。しかし2024年はR'Qs MOTOR SPORTSに移籍し、第4ドライバー登録ながら複数のレースに出走する計画が立てられており、活躍の機会は大幅に増える見込みだ。 そんな小山に、これからのレースキャリアで見据えるものについて改めて尋ねた時に出た言葉が、冒頭のコメントだ。現在はTGR-DC育成ドライバーとしてトヨタからのサポートも受けているが、そのトヨタと共に目指すのがGT300のタイトル。一方で自身が個人的に目指しているのが、スーパーフォーミュラへのステップアップだという。 「年齢と共にチャンスは減っていく中で(現在26歳)、ひとつひとつの実績がチャンスを増やしていくと思います。今できることとしては、いただいたチャンスの中でベストな結果を出していく。これしかないと思います」 「TGR-DCとしても応援していただいていて、GT300チャンピオンを目標に今年もGTに参戦させてもらいます。フォーミュラに乗りたいという自分の思いもある中で、そのために何をしていくべきか、何をしないといけないかを考えていきながら、ですね」 「個人的な夢はスーパーフォーミュラに乗ることですし、今支えてもらっている皆さんとの目標はGT300チャンピオン。目標はたくさんありますよね」 もちろん、スーパーフォーミュラのシートを獲得するのは並大抵のことではない。小山も上記のような実績を残したといえど、スーパーフォーミュラへのステップアップカテゴリーに位置付けられるスーパーフォーミュラ・ライツへのフル参戦経験もなく、現状としてもシートを獲得するのは金銭的にも難しい状況にある。当面の目標であるGT300チャンピオンがスーパーフォーミュラのシートに直結するかと言えば、実際そうとも言えないのが実情だろう。 そういったハードルを、小山はどうやって乗り越えていこうと考えているのだろうか? 本人に尋ねると、常に活躍を続けて名前が挙がり続けるドライバーであることが、いつか訪れるかもしれないチャンスを掴む上で重要ではないかと語った。 「メーカーで(サポートを受けて)乗るのであれば、しっかり結果を残さないと乗れる道はないと思います。メーカー系以外(のチーム)で乗るとしたらお金も必要。そこに向けたカテゴリー選択……つまりSFライツに行くためにもお金は必要ですが、今はそこには届いていません」 「あと、自分ではどうこうできないもののひとつに、時代があると思います。最近では、女性の活躍を応援するとか、そういったことに力を入れられたりしていて、私がもう少し歳をとった時には時代も変わっていくと思います」 「それを待っていては遅いと思っていますが、その時に例えばの話ですが(スーパーフォーミュラに)女性枠ができたとして、誰かを乗せるとなった時に一番最初に名前を挙げてもらうには、活躍していることが一番です。常に活躍して名前が挙がること、速いという意味で名を残していくことで、時代が変わったときにチャンスをもらいやすいと思っています」 ちなみに小山によると、まだ具体的な名前は出せないものの、今後に向けた経験値や知名度に繋げて“幅を広げる”ためにも、新たに参戦予定のツーリングカーカテゴリーがあるという。「GT300チャンピオンという目標をチームともメーカーとも掲げている以上、私もそこに向かって努力していきたいです。そのためにも、ツーリングカーの方では幅を広げていこうと思っています」とのことだ。 日本のモータースポーツ界にある種のムーブメントを巻き起こしたとも言えるJujuのスーパーフォーミュラ参戦。小山はそのことについて多くを語ることはないが、同じ女性ドライバーとして彼女のことを意識しないわけはないだろう。ただ小山は自らの野望を実現させるべく、着実に歩を進めようとしている。
戎井健一郎
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